どこまで進化するのか。巨人は14日の宮崎秋季キャンプで、ソフトバンクとの練習試合を行ったが、この一戦で唯一、出場を免除されたのが主砲・岡本和真内野手(23)だった。首脳陣の信頼は厚く、本隊と別行動も認められた。2年連続で中軸の重責を果たした規格外男は、人知れず抱えていた不思議な“敬語問題”もクリアしていた。

 この日のソフトバンク戦のベンチメンバーからただ一人外れたのが岡本だった。今季も全試合出場を果たし、2年連続で30本塁打超え。日本シリーズまで戦い抜いた疲労も考慮されたが、指揮官が口にした「もういいでしょう」との言葉は一人前と認知された証しでもあった。

 その岡本はこの日、全体練習で汗を流すとチーム本隊から離れ、試合中は室内練習場で一人黙々とバットを振り込んだ。

 今キャンプでは野手の主将にも任命され、プロ5年目でいよいよ“特別扱い”が容認されるまでになった。期待された打棒が進化したのは言うまでもないが、内面も大人びてきている。成人しているのだから当然かもしれないが、巨人の4番を張る希代のイジられキャラが抱える悩みも風変わりなものだった。

 高校通算73発を放ち、ドラフト1位で伝統球団の門をくぐった岡本は入団当初「僕、後輩に敬語を使われるのが苦手なんですよ。こんな感じ(キャラ)なんで…。後輩が入ってきても敬語は使わないでほしいですね」とまさかの“敬語NG”を突き付けていた。時代の流れもあるにせよ、野球界は今も基本的には先輩に絶対服従の体育会系。そのなかにあって、岡本の主張はかなり異色なものだった。

 あれから月日が流れ、チーム内には年下の後輩も増えてきた。本人はどう思っているのか。岡本は「そんなこと言ってましたっけ…」とケロリ。「でも、みんなが気を使ってくれているのは感じてます。(敬語で話しかけられるのも)もうだいぶ慣れましたね」と今や自然体で敬語を受け入れられるまでになっている。

 18歳で入団し、先輩たちを追いかけるだけだった男が後輩たちから目標とされる立場に。いつの間にか“敬語問題”を克服した主砲はこの先、どんな大物に化けるのか――。