原巨人に“怪物マシン”が復活だ。宮崎での秋季キャンプは12日から第2クールに突入。原辰徳監督(61)が所用のため不在となったなか、球場には超高速打撃用マシンが約5年ぶりに再登場した。あまりの球速に野手陣は対応に苦しみ、ミスショットを連発…。以前は打撃フォームを狂わすなどと不評でお蔵入りとなったが、今回は“黒歴史”を塗り替えられるか――。

 巨人キャンプに最強マシンが再登場した。メイン球場のサンマリンスタジアムに設置された打撃マシンの一つが、この日から大幅にスピードアップ。対応に四苦八苦した各打者は空振りやファウルチップのオンパレードで、専用打撃ケージの周辺は足の踏み場もないほど打ち損じた球が散乱した。

 実際の球速は150キロ超とみられるが、体感速度ははるかに上。主砲・岡本でも「200キロぐらいに感じました。難しいです」と頭をかき、石川も「最強ピッチャー。あんな投手はいない。エスコバー(DeNA)で160キロでしょ? あんなもんじゃない。前に飛ばなかった」と完敗を認めるしかなかった。

 首脳陣の狙いはどこにあったのか。一時帰京した原監督に代わり、現場を統括した元木ヘッドコーチは「結局、150キロ以上を投じる投手はいっぱいいるわけだから。ああいうのをボンボン打ち返せるようにしたい。大振りしても、スイングが遅くてもダメ。何が足りないかを分かってもらう」と説明した。

 14日に控えるソフトバンクとの練習試合への目慣らしの意味合いもあるが、主眼は速球に対して力負けせずに打ち返す技術力の向上にある。しかも、高速マシンの直前には全員が低速マシンをこなし、難易度はさらに高まった。これらは実戦を想定したメニューで、元木ヘッドは「難しいけどね。何の球が来ても自分のバランスで打てるようにしなきゃいけない」とピシャリだった。

 ただ、原巨人にとって超高速マシンの導入は“負の側面”もある。通称「160キロマシン」は原監督が前回指揮を執った2014年の秋季練習で初登場。当時の打者たちは通常よりも始動を数段早めるなどの対応に追われ、最終的に打撃フォームを崩す本末転倒の結末を迎えた。そんな経緯もあって、高橋由伸前監督が着任した15年秋から導入が見送られた。

 とはいえ、こうした大胆な打撃強化策を取れるのも秋キャンプのメリットでもある。最後は「慣れれば大丈夫です」と力強かった岡本。リスクと背中合わせではあるが、本分を見失わずに妙なジンクスを打ち破れるか。ヤングGたちの腕前にかかっている。