プレミア12に出場しているオーストラリアが窮地に追い込まれながらも怪気炎を上げている。

 11日の日本戦は惜敗。残り3試合を残しているものの、1次ラウンドの成績を持ち越すため、これで0勝2敗となった。現状では優勝どころか、3位すら厳しい状況だが、選手の表情には笑みばかり。それどころか「まだ試合がある限りあきらめない。全力で戦い続ける」と日本戦で2安打を放った「1番・右翼」のケネリーを始め、多くの選手が次戦に意欲を燃やしていた。

 今大会は2020年東京五輪の予選を兼ねている。オーストラリアはその出場権獲得がかかっているとはいえ、このモチベーションは異常だろう。なぜか。元オリックス育成選手でオーストラリアの三塁手を務めるダリル・ジョージに話を聞くと「みんな夢があるからだろうね」とこう続けた。

「現チームの大半はセミプロ選手。本当なら野球に専念したいがそれができない。だから僕のように育成選手でもいいから日本のプロ野球界でプレーしたいと思っている人は意外に多い。日本の育成選手であれば、ある程度の年俸をもらいながら野球に専念できるからね。その思いをかなえるためには国際大会などで活躍して、関係者から目を留めてもらうしかない。僕も他選手から日本のプロ野球の待遇や環境などをいろいろと聞かれる。その話をするたびに『育成でも日本のチームと契約したい』と言うから。そういう気持ちがあるからこそ、特に若い選手は力が入っていると思うよ」

 オーストラリアのチーム関係者によると、日本戦でスタメン出場した9人のうち7人はセミプロ選手だった。前出のケネリーは消防士。「2番・左翼」だったキャンベルは国内の車両レッカー会社で働きながら野球を続けている。他にも中学校の先生や鉱山労働者など職種は多種多様だ。

 母国のためだけでなくグラウンドでの戦いが将来を左右するとなれば…。オーストラリア代表の鼻息が荒いのも無理はなく、それが日本戦での善戦につながったともいえそうだ。