何とか勝った。国際大会「プレミア12」に出場する日本代表がスーパーラウンド初戦のオーストラリア戦(ZOZOマリン)に3―2で逆転勝ち。格下相手にも2点を先制される苦しい展開だったが、4番の鈴木誠也外野手(25=広島)の3試合連続弾で反撃ムードをつくると、周東佑京外野手(23=ソフトバンク)の足で同点、さらに相手の自滅で勝ち越した。今大会でも成長し続ける日本の新主砲は、来年の東京五輪でも日本を背負ってくれそうだ。

 これが侍の4番だ。0―2とリードされた4回二死。鈴木はそれまで1安打無得点と侍打線が苦しめられていた相手先発ルジッチの初球、125キロの変化球をとらえ、左翼席中段へ。「どうにかして塁に出たいと思って打席に立ちました。それがたまたま(本塁打という)最高の結果になってくれました」という新主砲の一発が、日本の反撃の口火となった。

 7回には吉田正(オリックス)が安打で出塁し、代走に周東。その周東が二盗、三盗を決めると、二死三塁から打席の源田(西武)が投前にセーフティースクイズを試みた。周東は快足を飛ばして投手のタッチをかいくぐり、同点に追いつくと、8回に押し出し四球でどうにか勝ち越した。

 稲葉監督は「オーストラリアの先発投手が良く、打線がとらえることが難しい中で(鈴木)誠也の一発で早い段階で点を取れて非常に大きな1点だったと思います」と最敬礼だった。

 チームの反撃機運を呼んだこの一発で、鈴木は5日の1次リーグ開幕のベネズエラ戦から4試合連続打点。10打点目をマークした。また本塁打は6日のプエルトリコ戦から3試合連続。日本代表の3戦連発は2017年のWBCで中田翔(日本ハム)が記録して以来で、侍ジャパンの4番打者としては国際大会で史上初の快挙となった。

 17年のWBCには野手最年少として参加。しかし、本塁打、打点はともにゼロで終わり、打率は2割1分4厘と消化不良の結果に終わった。そこからわずか2年で一気に侍の4番にまで駆け上がり、チームを引っ張っている。

 そんな侍の新主砲は、代表に合流後もシーズン中と同様にほぼ休みなしで練習を行っている。その理由を鈴木自身はこう説明している。

「僕はあまり遊ばないですね。(休日も)外もほとんど出ないですし。次の試合で『遊ばなかったら打てたかも』と思いたくない。そういう後悔をしたくないんです」

 本人は「ストイックじゃないです」と否定するが…。猛練習が信条の広島にあっても、その練習量は群を抜く。日々の積み重ねで成長を続ける鈴木が、メジャーに挑戦するDeNAの筒香、そして巨人・岡本や西武・山川ら今大会不出場の選手ら他の4番候補たちを一気に置き去りにし、東京五輪の「4番」を確実なものにしようとしている。