侍軍団で異彩を放つ日本の“忍者”が夢への挑戦を電撃決意した。広島は8日、菊池涼介内野手(29)のポスティングシステムでのメジャー移籍を容認すると発表した。球団によると、数日前に本人から申請の要望があったという。残留を疑っていなかったカープナインは一様にビックリ。仲間の想定外の決断に衝撃が広がっている。

 突然の発表だった。球団広報を通じ「彼は今まで球団に多くの貢献をしてくれた。彼のチャレンジを尊重したい」と鈴木球団本部長のコメントが発せられると、カープナインや関係者からは続々と驚きの声が上がった。

 菊池涼は現在、侍ジャパンの一員として国際大会「プレミア12」に参戦しており台湾に滞在中。この日は台中市内で行われたピックアップ練習に姿を見せなかった。侍のメンバーでもある広島選手会長の会沢は「夢だったと思うので頑張ってほしい」と語ったが「驚きましたが…」と素直に反応。一方、鈴木は「決断はそれぞれなので。挑戦はできるときにした方がいい。僕としては応援したいし、海外へ行くのなら見てみたい気もする」と話した。

 秋季キャンプ中の宮崎・日南では高ヘッドコーチが取材に応じ「チームとしては痛いけど、個人の夢だからね。球団が容認するなら、僕は応援する」と後押し。菊池涼は昨年末の契約更改の席で「前から向こう(メジャー)でやりたいと思っていました。野球をやっている以上はトップのレベルを目指していきたい」と語り、ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦意思を球団側に伝えていた。

 夢への挑戦は止められない。チームメートからすれば本人が決断し、球団が認める以上は応援するだけだ。だがつい先日まで、菊池涼は広島の一部ナインには「残ることになると思う」と話していたという。それだけに「まさか…」と驚きの色が広がっているのだ。

「メジャー挑戦の夢はずっとあったんだろうが、現実的には厳しいと思っていたんだと思います。ここ最近になって“いい話”が転がり込んできたのでは…。てっきり残ると思い込んでいたから、マジで驚いていますよ」(広島ナイン)

 菊池涼は今季、国内FA権を取得したが、今月1日に権利を行使しないと表明していた。また球団はポスティングシステムでのメジャー移籍を容認する一方、移籍が実現しない場合は残留を認める構え。“忍者”の周辺が急に騒がしくなってきた。