巨人・原辰徳監督(61)が小林誠司捕手(30)に“超プロテクト”を施す。来季中にも国内FA権を取得する背番号22の流出を防ぐべく、チーム編成権を握る原監督がフロントに進言。小林にとって初となる複数年契約を提示するなど、慰留対策に乗り出すことになった。球界屈指の強肩捕手の巨人残留に向け、球団総出で取りかかる。

 原監督が鋭い先手を打った。来シーズン中にも国内FA権を取得できる小林に対し、最大級の誠意を見せていく。万が一の流出を防ぐべく、指揮官自ら球団幹部に提言。「彼の働きからすればずいぶん安い」と語る、推定年俸6000万円からの増額だけでなく、複数年契約などの好条件で引き留めにかかる模様だ。

 プロ6年目を迎えた小林の今季は、これまでにない苦境の連続だった。昨オフには炭谷が西武からFAで加入。強打が売りの大城にもその立場を脅かされた。ついには2年目の岸田にまで先発マスクを奪われたことも。それも2位・DeNAに0・5ゲーム差まで詰め寄られたなかでの起用とあって、岸田の抜てきよりも“小林外し”の方がクローズアップされ、物議を醸したこともあった。当然、出場機会は激減。今季は出場92試合にとどまり、4年ぶりに100試合に届かず終了した。

 これに周囲は小林への評価急落と推測したが、意外にも原監督の評価は高いものだった。「今年は(炭谷)銀仁朗を獲ったりして出番も少なくなって…本人がどう思っているか分からないが、小林はこれからもジャイアンツに必要な選手。もちろん、まだ足りない部分もあるが1年を通して試合に出られる強さがある」とキッパリ。打力こそ大城などに劣るものの、今季の盗塁阻止率(4割1分9厘)は、12球団トップ。セ・リーグでは4年連続トップを継続している。

 現在、複数の球団が正捕手不在に頭を抱えている。若さとフィジカルの強さ、そして球界屈指の強肩を持つ小林が手を上げれば大争奪戦は必至だ。原監督は、このままでは「不遇」と受け取られかねない小林の胸中を察し、素早いアクションと高条件という“プロテクト”で全力慰留に努めた格好だ。

 現在、侍ジャパンの一員として「プレミア12」に参加中の背番号22。今オフの契約更改からも目が離せない。