阪神が悩める右腕・藤浪晋太郎投手(25)の来季復活へ、早くも色めき立っている。

 高知・安芸で行われている秋季キャンプは5日から第2クールに突入。臨時投手コーチを務める山本昌氏が精力的に投手陣を指導したなかで、最も多くの時間を費やしたのは藤浪への指導だ。

 午前中にブルペンで70球の投球を見守ると、午後から日没までは矢野監督や福原、金村、安藤3投手コーチらとともに、キャッチボールする藤浪のフォームを徹底的にチェック。山本昌氏は「最後の居残り練習では、一つの暴投も抜けたボールもなかった。あとはリリースポイントが安定すれば二の矢、三の矢(としてのアドバイス)も送れると思う」と藤浪再生への手応えを口にした。

 藤浪本人も「ボールもしっかり指にかかってリリースも安定してきた。(ゴールは)まだ先ですが、いい感覚がつかめています」と納得の表情。金村投手コーチは「昌さんを見ていて『さすがだな』と思うのは段階を追いながら教えられていること。目指すべき完成形はまだ藤浪に見せずに、一つひとつのステップを着実に踏ませながら指導している」と、その手腕に敬意を表した。

 来季、15年ぶりとなるリーグ制覇を目指す阪神にとって、藤浪再生は最重要ミッションの一つ。球団関係者は「藤浪があれだけ前のめりになって誰かにアドバイスを求めている姿は初めて見た。昌さんは引き出しも多いし、決して自分の考えを押し付けない方なので藤浪の性格には合っていると思う。今の藤浪を見ていると、来季こそ復活してくれるのではないか」と大きな期待を寄せる。

 ある選手は「藤浪はすでに“あとは這い上がるだけ”の状況に追い込まれている。このタイミングで昌さんが来たのだからあとはプラスにしかならない」と断言する。迷走する右腕に対してチームからはポジティブな声しか聞こえてこない。実はこれが一番の“昌効果”かもしれない。