佐々木はロッテで大正解 その根拠は吉井コーチの存在

2019年10月28日 16時30分

佐々木はロッテで飛躍できるか

【広瀬真徳 球界こぼれ話】「令和の怪物」こと佐々木朗希(17=大船渡)のロッテ入りが間近に迫ってきた。ドラフトで4球団競合の末、ロッテが抽選で交渉権を獲得。以来、松本尚樹球団本部長を中心に超高校級右腕の受け入れ態勢を着々と整えているという。

 チームどころか球界の至宝になり得る佐々木。受け入れ側が慎重になるのも当然で、現場を預かる井口監督も「しっかりプランを立てながら育成をやっていく」と浮かれた様子はない。

 だが、こうした球団の姿勢とは対照的に、球界関係者からは「本当にロッテは佐々木を大成させることができるのか?」という不安の声が後を絶たない。実際、どうなのか。個人的な見解で言わせてもらえば、私は成功すると信じている。根拠はチームの投手陣を束ねる吉井理人投手コーチ(54)の存在である。

 同コーチは、1983年に和歌山・箕島高からドラフト2位で近鉄に入団。現役時代に日米7球団を渡り歩き、引退後は日本ハム、ソフトバンクでのコーチを経て現在ロッテで指導を続けている。培った投球論と指導力には定評があり、その信条は「まず選手の意見を聞き、その後選手に合った指導法を提示する」というもの。決して上から目線ではなく、選手の特性、個性を第一に考えるため選手側からの評判もいい。以前、指導法について吉井コーチが持論を交えながらこんな話をしてくれた。

「投手というポジションは一つだけど、一人ひとりの体の大きさや投げ方、スタミナは違う。それなのにどの選手にも同じ指導はあり得ない。それにプロ野球はコーチが毎年のように代わることがある。自分も現役時代、コーチやチームによって言われることが変わることが多々あった。だからこそ、選手自身が考えながら成長していく方法を見つけ出してあげないといけない」

 最速163キロの直球を誇る佐々木は潜在能力がある半面、肉体、精神面はまだプロレベルではないと言われる。事実、高校時代は故障回避のため、連投や球数を制限してきた。そんな右腕には筑波大大学院でコーチング理論を研究し、選手、コーチとして実績もある吉井コーチが指導者として適任だろう。

 吉井コーチが蓄積した知識や情報量は取材陣もうなるほど。それを吸収できるロッテに佐々木が身を置くことになるのも何かの縁かもしれない。

 良き指導者との出会いは選手の人生を左右する。剛腕と名コーチの融合で逸材はどう育つのか。今から楽しみが尽きない。

☆ひろせ・まさのり 1973年、愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心に、ゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。