【日本シリーズ】巨人・阿部に「引退撤回」を望む声…球界の邪道・大仁田になれ!

2019年10月20日 17時00分

千賀から先制弾を放った阿部

 令和初の日本シリーズが19日、ヤフオクドームで開幕し、巨人がソフトバンクとの第1戦に2―7で大敗。痛い黒星スタートとなったが、誰よりも輝きを放ったのは今季限りでの現役引退を表明した阿部慎之助捕手(40)だった。鷹のエース・千賀から先制のシリーズ1号ソロ。健在ぶりを改めて示した背番号10にはチーム内から“邪道”とも言える「引退撤回」を望む声が上がっている。

 パ屈指の右腕に軽くヒネられた。G打線は千賀が降板する7回までわずか3安打。送りバントや好走塁などで着実に塁を進めて得点につなげる鷹打線に突き放され、終わってみれば大差で初戦を落とした。

 試合後、原監督は「誰だって日本シリーズの第1戦というのは少々硬くなりますよ。また明日、フラットな形で戦うということ」とサバサバ。吉村打撃総合コーチも「(千賀が)いい投手ということは誰もが分かっていること。攻撃的に行こうという話はした。引きずってもしょうがないので、また明日切り替える」と次戦を見据えた。

 そんななか、ド肝を抜いたのが阿部だ。0―0で2回一死走者なしの場面。千賀が投じた初球の152キロ直球を叩き、打球はホームランテラスを越えて右中間席に着弾した。G党はもちろんベンチもお祭り騒ぎだ。チームが敗れたこともあって阿部は「今日のことは忘れてまた明日」と言葉少なだったが、主将・坂本勇も主砲・岡本も沈黙しただけにいっそう際立つ一発となった。

 それにしても、これが本当に引退間際の男なのか…。正式表明した直後の1戦目、9月27日のDeNA戦(東京ドーム)でも7号ソロ。確かに、全盛期に比べれば肉体的には衰えたかもしれない。ただ、この日の一発が証明したように、19年間で培われた技術、ここぞの勝負強さは健在だ。

 チームは阿部に最高の花道をと一丸となるが、同時に一部から「阿部さんは絶対にまだやれる。何とか引退を撤回できないものか…。引き際の美学もあるのでしょうけど」との声があるのも確かだ。

 実際、精神的支柱の阿部が抜ける穴はとてつもなく大きい。まず長打を見込める左の代打が不在となる。この日、ベンチ待機した左打ちの打者は重信だけで、7回二死二、三塁の絶好機で登場して見逃し三振に終わった。さらに、阿部の後釜候補で最右翼となる大城も成長段階。6点差をつけられた9回に一発を放ったものの、主砲に求められるのは試合を動かし、ひと振りで決めることだ。レギュラーをつかめず、本業の捕手と一塁を行き来している状況ではまだ心もとない。どちらにしても大幅な戦力ダウンは必至だ。

 日本球界での引退撤回はレアケースで、城之内邦雄(巨人で1971年に引退も、ロッテで74年に現役復帰)、井上弘昭(日本ハムで84年に引退も、西武で85年に現役復帰)らの例はあるが、メジャーリーグでは大物選手の現役復帰は実際に少なくない。ヤンキースなどで活躍し、通算354勝を挙げたロジャー・クレメンスは3度も引退を撤回。同じくヤンキースなどに在籍して256勝のアンディ・ペティットも前言を翻したように、ある意味で超一流にだけ許される“特権”だろう。また、ジャンルこそ違うがプロレス界では「邪道」こと大仁田厚のように引退→復帰をお家芸とする例だってある。

 無論、阿部は5年ぶりのリーグ優勝を機に原監督と今後の人生などを話し合い、身を引く決意を固めた。そう簡単に方針を大転換することはないだろうが…。Xデーが近づくにつれ、阿部に「球界の大仁田」を期待する引退撤回への機運も高まりそうだ。