ドラフト会議から一夜明けた18日、阪神・矢野燿大監督(50)が大阪市内の電鉄本社を訪れ藤原オーナーにシーズン報告を行った。就任1年目の今季は終盤の6連勝で3位に滑り込み、クライマックスシリーズ(CS)でも投手力を生かした采配でファイナルステージに進出。それでも最後は宿敵・巨人に敗れたとあって「ジャイアンツに負けた悔しさを日々持ちながら過ごしたい」と来季のリベンジを誓った。

 指揮官は“再生工場”をフル稼働させることも宣言した。今季は島本、守屋ら二軍暮らしが長かった選手を戦力に引き上げることに成功。17日のドラフト会議では1位指名の西純矢投手(18=創志学園)ら高校生中心の指名となっただけに、今後も「(現有戦力から)プラスアルファで出てきてくれるのは大事。俺もできるって思えるような結果をあの2人が出してくれた。みんなに可能性がめちゃくちゃあると信じている」と戦力となり得る逸材の発掘&再生に務めていくという。

 そこで球団内から求められているのが藤浪の完全復活だ。球団関係者は「来年藤浪が復活できるかどうかが監督の評価にもつながってくる。監督自身、山本昌さんを臨時コーチとして呼ぶなど手を尽くしているが、何とか先発ローテの一角として再生してほしい」と切望する。

 藤浪をめぐっては他球団の首脳陣から「うちの選手を治したイップスの専門家を紹介したいよ」という声が上がるほどいまや球界全体の関心事。阪神としても現在、宮崎で開催中のフェニックス・リーグでリリーフ登板させるなど、あらゆる手段を講じている。指揮官は「3位でよかったとは思っていない。一番上が目指すところ」と15年ぶりのリーグ制覇を見据えている。就任2年目の来季はさらに仕事が増えそうだ。