7年ぶりの日本一奪還を目指す原巨人を16日、衝撃が襲った。鈴木尚広・外野守備走塁コーチ(41)が「一身上の都合」により電撃退団。同コーチは17日発売の「週刊新潮」で既婚女性との交際を報じられた。19日から始まるソフトバンクとの日本シリーズ直前にまさかの大激震に見舞われたセ王者のドタバタ劇を追った。

 この日午前11時、球団から鈴木コーチの退団が発表された。午後2時からの全体練習のため東京ドームに向かう途中だったGナインにも衝撃が走った。

 鈴木コーチは球場を訪れると全体練習前にナインの前であいさつ。その場で状況説明と謝罪をしてドームを去った。球団は同日付で村田修一ファーム打撃兼内野守備コーチ(38)の一軍打撃コーチ昇格を発表。大一番直前の配置転換は異例で、チームへの影響も避けられそうにない。

 2016年に現役引退し今季から入閣した鈴木コーチは「走塁のスペシャリスト」として若手を指導。キャンプでも特別メニューで重信、増田大らに盗塁技術を伝授し、チーム盗塁数は18年の61から83と大きく躍進。試合では一塁ベースコーチを務め、5年ぶりとなるリーグ優勝の原動力の一つになった。

 決戦前に一軍に走塁コーチがいなくなる異常事態にGナインも驚きを隠せない。「尚広コーチに教わったことが変わるわけじゃない」と話すナインもいれば「鈴木コーチが日本シリーズをテレビで観戦すると思うのでチームにいるつもりでプレーする」と自分に言い聞かせる選手も…。

 首脳陣も大混乱だ。一塁コーチの代役は日本シリーズ3日前の時点で未定。鈴木コーチが行っていた外野ノックは後藤孝志打撃兼外野守備コーチ(50)が務めた。「今日の今日だし、まだ何も決まっていない。こういう時だからみんなでカバーするしかない」と同コーチは当惑した。

 原監督はスカウト会議出席のためこの日は練習に不在。現場責任者の吉村禎章打撃総合コーチ(56)は「いろいろ考える」と顔をしかめた。

 チームとしてソフトバンク戦に向け一丸となっている中でのまさかのコーチの電撃退団。7年ぶりの日本一に向け順調だった巨人にとって不測の事態となった。