待ち望んだ頂上決戦がついに実現した。巨人は2年連続の下克上日本一を狙うソフトバンクと19日から日本シリーズを戦う。同カードは「ON対決」となった2000年以来で19年ぶり。巨人はセの覇者のプライドにかけて、全力で鷹狩りに臨む。


 巨人はCSファイナルステージも「全員野球」で駆け抜けた。主砲・岡本は打率5割3分3厘(15打数8安打)、3本塁打、7打点の大爆発でMVPに輝き、第4戦では同点の6回二死三塁から意表を突いた丸のセーフティースクイズ(記録は内野安打)で阪神に引導を渡した。長打あり、小技あり。5年ぶりにリーグ制覇した総合力の高さはポストシーズンに入っても健在だ。

 パ・リーグのCSファイナルステージを4連勝で駆け抜けたソフトバンクも強敵だが、シーズン終盤から怒とうの勢いを見せた阪神を返り討ちにしたことで巨人は自信を深めている。自軍を「途上のチーム」と評してきた原辰徳監督(61)も「短期決戦の中でも良い点、修正点はある。経験をできたのは大きい」と成長に手応えを示した。

 阪神とのCSの舞台裏では、Gナインが自分たちの結束力の固さを実感する出来事にも遭遇していた。ポストシーズンでは、巨人は団結ムードを高めるため、本拠地開催でもチームで同じホテルに泊まることが通例だ。今回は主力やベテラン勢も同宿が原則で、原監督をはじめ首脳陣、全選手が集結していた。球場を離れた後も食事会場で顔を合わせるなど、さながら合宿状態でコミュニケーションを密にした。

 それに対して阪神は宿泊先も珍しく巨人と同じだったが、G戦士たちから聞こえてきたのはCS突破にかける“覚悟の違い”だった。

「阪神の食事会場は僕らの隣でしたが、夜はみんなどこかに行って、ほとんど誰もいなかった。向こうは遠征ですから、あいさつに行かなきゃいけない人もいるんでしょうけど…」「外に出かけることが悪いことではありませんが『負けられないな』とは思いました」。極め付きは「向こうは門限なし。僕らは門限があるから外に出ないのではなく、部屋でストレッチをしたりやるべきことがあったので」だった。

 誰の指示を受けるわけでもなくGナインは自由な時間を翌日に向けた準備に充てていた。グラウンド外で決着がついていたといっても過言ではない。日本シリーズは敵地ヤフオクドームから始まる。さらに一致団結した巨人が今季最後の大勝負に臨む。