クライマックスシリーズファイナルステージで奇跡の4連勝に燃える阪神は12日、東京ドームで非公開の指名練習を行った。前日の第3戦勝利で一矢を報いた矢野監督は「まだまだ自分らの野球をしたい。常々“ファンを喜ばせたい”と言ってるけど、そういう野球を一日一日延ばした結果が4つ(4勝)というのもある。まあ、先ばかり見たくはないけどまた皆でつないで、楽しみながらファンを感動させられる試合ができればと思っている」と改めて逆襲を誓った。

 遅ればせながら、夫人の出産のため米国に一時帰国していたピアース・ジョンソン投手(28)が第4戦から参戦する。何とか間に合った格好となったジョンソンは「(出産での立ち会いで)人生の最高の瞬間に立ち会えることができた。チームの皆に気を使ってもらい、感謝してます。(夫人は)『仕事なんだから頑張って』と見送ってくれた」と話し「巨人戦で自分のやることは変わらない。貢献するだけだ」。今季58試合に登板し、防御率1・38、リーグ2位の40ホールドを誇る救援エースの途中参戦は残り1勝の巨人にとっても脅威となるだろう。

 しかし、問題がないわけではない。ジョンソンといえば今季、疲労の蓄積を含めたコンディション不良での離脱があったが、そのたびに矢野監督は「とにかく無理はさせたくない」と気を配ってきた。これもジョンソン自身が「2連投ならいいが、3日続けては難しい」と、体調管理に人一倍ナーバスだったから。それだけにチーム内は「本当は毎日でも投げてくれればありがたいけど、3連投までもしてくれるかどうか…」(球団関係者)と今から心配している。

 阪神が奇跡の4連勝を果たすには、ジョンソンの3連投が必要な展開もある。しかし、指揮官が今回、ジョンソンについて「チームにとってプラスで心強い」と歓迎しながらも「(起用は)コンディションもあるし、そこは本人と話して状況を見ながらの判断になる」と威勢の良さがなかったのも確かだ。

 夫人のオメデタ出産で帰国した分、気を良くしてサービス登板してくれれば言うことはないが、果たしてどうなるか。