パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦(メットライフ)は2位のソフトバンクが王者西武に8―6で2連勝。対戦成績2勝1敗(アドバンテージを含む)で一歩リードした。一方で、シーズン終盤の勢いがピタリと止まった西武は深刻な投壊現象で暗雲が垂れ込めてきた。

 西武は先発・今井が3回途中6失点。打線が4回以降に目覚めて10安打6得点と追い上げたが、最後は序盤の6失点が重くのしかかった。試合後の辻監督は「最後はいい粘りだった。前半の失点が大きかったが(攻撃面で)ウチらしさが出てきた。まだどうなるか分からない。甲斐野、モイネロからも点を取った。まだ明日負けても終わらない。ウチらしくやっていく」と前を向いたが、2試合計16失点の投手陣の惨状を見る限り、状況は極めて厳しい。

 そんな投壊を誘引しているのが正捕手の森友哉(24)だ。負担の大きいポジションながら打率3割2分9厘、23本、105打点でパ・リーグMVP候補の最右翼。首脳陣もその打力を最大限生かすべく、シーズン中から脳内負担軽減策として試合前のバッテリーミーティングへの参加免除などの特例を容認してきた。だが、その様相が第1戦の決勝捕逸で一変した。チーム関係者は言う。

「友哉は打撃でチームに貢献をしてきたので、投手陣もある程度のミスには目をつぶってきた。でも、昨日(第1戦)の8回に平良のワンバウンドを捕逸してしまった。あの1球で投手陣からの信頼を失ってしまった。体を張っていれば止められたボール。『いくら打撃優先でも最低限のプレーはしてほしい』と。今日(第2戦)の試合前に、友哉には投手陣やコーチからあのプレーについて注意があり、さすがに本人も反省していました」

 森は常々「僕は(性格的に)捕手に向いていない」と話すように、投手陣と積極的にコミュニケーションを取るタイプではない。首脳陣もそれを理解しているからこそ、リードの部分では目をつぶってきた面もある。だが、一つのミスが命取りになるのが短期決戦だ。

 西武は昨年もCSファイナルステージでソフトバンクに5試合で計44失点の屈辱を味わった。昨年の悪夢再現が着々と現実味を帯びている。