【伊勢孝夫・新IDアナライザー】ポイントは8回の攻防だった。1点を追うソフトバンクは二死一、三塁の場面で、工藤監督は内川に代えて長谷川勇を代打に送った。ベテランだけに代えにくいところだが、サッと代えて長谷川勇は同点打。その裏、西武は二塁打の山川を置いて続く栗山は三振。後続も倒れて無死二塁の得点機を生かせなかった。左対左だし、栗山への配慮があったのだろうが、右の代打で送りバントでもよかった。三塁まで行けば犠飛でも同点になる。両監督の決断力の差が出たように感じた。

 救援陣にも差がある。ソフトバンクにはまだ石川もいたし、ここから点を取るのはいかに西武打線でも難しい。同点打を浴びた平良も長谷川勇に対して全球直球でインコースもない。捕手の森は打撃の選手だし、リード面はどうなのか…。

 それでも序盤はニールに打線が苦しめられた。これだけ動くツーシームを投げられると、そうは打てない。初回は何とかスタメン復帰した松田宣の適時二塁打で先制したが、2回以降は引っかけたゴロアウトばかり。来た、と思ったらそこから変化する。なぜもう少し逆方向を狙えなかったのか。動くボールに対応するにはストライクゾーンを上げ、少しでもボールを長く見て逆方向を意識するのが必要だ。

 4回の攻撃前に円陣を組んでいたので、立花打撃コーチがその指示を出していると思った。でもそれ以降も変わらなかった。6回二死満塁の好機でも内川がツーシームを打ち損じて遊ゴロ。福田などは逆への意識がまったく見えなかった。94球で降板したニールとは、もう一度対戦する可能性もあり、対策を練る必要はある。ただ、監督の決断力や抑えにつなぐまでの中継ぎ陣を考えると、底力はソフトバンクの方が上と見た。(本紙評論家)