パ・リーグのCSファーストステージ第3戦は7日、ヤフオクドームで行われ、2位ソフトバンクが3位楽天を2―1で下してファイナルステージ進出を決めた。

 チームを導いたのは今季、規定打席到達者で得点圏打率ワーストに低迷した内川聖一内野手(37)。1―1の7回、左翼席へ決勝ソロを放ち「自分の野球人生で印象に残る一本になった」。4回にも同点打を放っており、まさに内川さまさまの活躍だった。

 レギュラーシーズンでは得点圏で幾度も凡退を繰り返し、悔しさをかみしめた。「寝れない日なんて何度もあるよ」。休養日に家にいても悶々として、気づけばヤフオクドームに来て黙々とバットを振っていた。「気持ちを切り替えられる人がうらやましいよ。でも、失敗したことに向き合うから進歩があるのかな」

 気がめいりそうでも「野球は失敗の方が多い。悔しさの数よりもはるかに少ない喜びのためにやっている」と自らを奮い立たせてきた。

 今季は137試合に出場して、3年ぶりに規定打席に到達。130試合守った一塁でパ・リーグ初の守備率10割を達成した。開幕前から「今年は一秒でも長くグラウンドに立ちたい。守りにこだわりたい」と語っていた通り好守を連発。だが、希代のバットマンは、打撃よりも守りがクローズアップされるシーズンを複雑な心境で捉えていた。

「もちろん胸を張れることなんだけど…。俺はファーストの選手だからね。助っ人よりも打たないと務まらない。打たないといけないポジションだから。究極を言えば10割打ちたい。チャンスで打ちたい。とにかく勝たせたいんだ」

 今季は打率2割5分6厘、12本塁打、41打点。得点圏打率は1割9分4厘。このまま終戦を受け入れるわけにはいかなかった。 最強のCS男は通算安打、打点をそれぞれ51と30に伸ばし、通算本塁打とともに最多を更新。「そんなふうに誰も呼んでないでしょう?」と笑い飛ばすが、まさに“ミスターオクトーバー”の活躍を見せている。

 まだまだ続く内川の秋。鷹が2年連続の下克上日本一にまた一歩近づいた。