広島・佐々岡新監督を待つ大仕事

2019年10月05日 16時30分

佐々岡カープはどうなる?

 新生カープの“顔”が決まった。広島・佐々岡真司投手コーチ(52)が4日、マツダスタジアム内の球団事務所を訪問。鈴木球団本部長との会談で来季監督を打診された。同コーチは「前向きに考えています」と受諾する意向を示しており、近く正式決定する見込み。ただ昨季までリーグ3連覇を果たしたチームは過渡期に差し掛かる。勝利と育成の両立という大仕事に、投手出身の新監督はいかに立ち向かうのか。

 1日に緒方前監督が退任を発表してから3日目の昼、広島の新監督人事が急展開した。球団事務所で鈴木本部長との会談を終えた佐々岡コーチは、正式に監督就任要請を受けたことを認めた上で「まず家族と話をしてということになる。気持ち的には前向きに、というのはある。(決断に)そう時間はかからないと思う」と時折笑みを交えながら話した。

 覚悟は固まっていた。「周りからそう(監督候補と)言われることがあったから、ある程度そういう話かなというのはあった」。近日中にも就任会見を開き、9日の秋季練習初日から指揮を執る見込みとなった。

 現役時代の佐々岡コーチは先発、抑えとして通算138勝、106セーブを記録するなど活躍。07年に引退後は評論家として活動し、15年に二軍投手コーチとして現場復帰。今季は一軍投手コーチとして緒方政権を支えた。投手出身監督の誕生となれば、広島では1967年の長谷川良平以来、実に53年ぶりとなる。

 新監督選定に当たった鈴木本部長は要請理由について「誰がこれからをつなげていけるのかと考えたときに佐々岡という人選になった。人柄は言うことはない。能力も当然ある」。“家族”と称されるカープだが、今季は低迷に加え、指揮官の暴力騒動などもあり、ベンチに微妙な隙間風が吹くこともあった。

 緒方監督の退任時、松田オーナーが新監督に求める資質として「人柄」と真っ先に上げたのも、よどみ始めた空気を感じ取ったからなのか。「もしも仮にチームがバラバラになっているようなことがあったならば、まとめられるような人間がいいだろう」。資金力では後塵を拝しても、結束力こそが広島の強み。その点、佐々岡コーチには人望がある。

 前監督は仕事に関しては人一倍熱心だったが、コミュニケーションという面では器用ではなかった。公平を重んじて選手との接触を避けるあまり、逆に疑心暗鬼を招くこともあった。首脳陣とナインがなれ合ってはいけないが、佐々岡“新監督”に求められる仕事は、まず選手との信頼関係の再構築だ。FA権を持つ菊池涼、会沢、野村ら主軸の引き留めに乗り出すことも期待される。

 とはいえ人柄だけで務まるほど監督業は甘くなく、課題は山積みだ。今季はチーム防御率を昨季の4・12から3・68に良化させたが、中崎やフランスアの不振もあって7回以降の“方程式”を固められず、32度の逆転負けを喫した。球団側とは新外国人獲得を含めた補強策をすでに話し合っているが、リリーフ陣の再整備は急務だ。またファームとの連携を図りながら、岡田や薮田ら伸び悩んだ若手の再生も大きな仕事になる。

 投手出身監督となる以上、ベンチで作戦面を補佐する参謀の存在も重要だ。野手陣は西川、小園らが台頭し、若返りが進む。緒方政権を支えた高ヘッドを引き続き脇に据えるのか、それとも新たな人材の登用があるのか。コーチ陣に関しては外部招聘を含めて組閣作業を進めている。

 佐々岡カープの誕生に向けられるのは必ずしも温かい視線ばかりではなく、勝利の味を知ったファンの目はシビアだ。元エースが荒波の中、船出する。