巨人ナインが退任の内田コーチに捧ぐ 日本一で恩返し

2019年10月04日 16時30分

内田コーチ(左)の熱血指導には阿部もくぎ付けだった(2006年)

 巨人は3日、東京ドームで紅白戦を行い、9日から始まるCSファイナルステージに向けて調整した。ただ、ナインの心には大きな穴があいていた。多くの大打者を育て上げた内田順三巡回打撃コーチ(72)が今季限りで退任することが決まったからだ。名伯楽の教えで開眼した選手は数知れず、“内田チルドレン”たちが「日本一奪回で恩返し」へ団結を強めている。

 この日は実戦感覚を失わないための紅白戦が実施され、バックネット裏から鋭い視線を送った原監督は「実戦に即した(形で)緊張感を持ってね。それぞれがやっていたので良かったと思います」とうなずいた。

 ただ、ナインの心には大きな空洞が…。球団は2日に内田コーチの退任を発表。同コーチは1983年から実に37年間、広島と巨人の両球団で打撃コーチなどを歴任し、巨人では松井秀喜や高橋由伸、阿部慎之助…、広島でも前田智徳や金本知憲など数え切れないスター選手を送り出してきた。

 選手たちからは感謝の言葉が絶えない。2年連続で30本塁打超えを果たし、今や4番に定着した岡本も愛弟子の一人。若き主砲は「1年目から3年目まですごくお世話になり、基本を叩き込んでもらいました。寂しいですね。(プロ入り後)最初の指導が内田さんだった。それはすごく恵まれていると思います。厳しい時は厳しく。そうでない時はユニークな練習をさせてくれたり、言葉でも楽しませていただきました」と肩を落とした。

 今季からFAで巨人に加入した丸も広島で過ごした若手時代に内田コーチの下で修業を積んだ。「僕が入った時もお世話になりましたし、70歳を過ぎても現役でやられて、すごく野球が好きだという気持ちが出るコーチ。そういう方がいなくなるのは寂しい」。入団間もない時期には「ああしろ、こうしろとは言われず『ここだけ気を付けておけば、そのままで大丈夫だ』と…」と力強い言葉をかけられ、プロの世界で生きる自信になったという。

 また、異国の地でプレーする助っ人たちにも大きな存在で、珍妙なニックネームをつけて笑いを誘ったり、積極的にコミュニケーションを図ってきた。「ウチダサン、バイバイ、ノーグッド!」と声を大にしたのはゲレーロだ。「言葉よりも接し方。日本人と外国人とでは違うし、野球も違う。そうした背景を分かった上で指導してくれた」と別れを惜しんだ。

 コーチ陣の手本にもなった。吉村打撃総合コーチは「いろいろな練習方法や個々の選手の(状態に応じた)練習方法をよく教えてもらった」と頭を下げた。

 くしくも今季限りで教え子の阿部も現役生活に終止符を打つ。通算2000安打、400本塁打も達成した背番号10は「『(内田コーチとの)下積みがあったから、ここまで来れました』と連絡したよ」と神妙な面持ちで話した。

 チームは功労者・阿部に最高の花道を用意すべく「日本一奪回」に燃えている。そこに輪をかけるように内田コーチの退任…。ゲレーロが「日本一になることで恩返ししたい」と力説したように、ナインはこれ以上ない結果を示し、恩に報いるつもりでいる。