阪神CS進出!奇跡を生んだ“矢野流サプライズ”

2019年10月02日 11時00分

試合後のセレモニーでファンの声援に両手を上げて応える矢野監督

 阪神が今季最終戦となる9月30日の中日戦(甲子園)を3―0で制し、逆転でのクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。大山の適時打や相手のミスで3点を奪うと必死の継投策で逃げ切りに成功。今季初の6連勝で3位に滑り込んだ。自力CS消滅から奇跡的な快進撃をみせた裏には矢野燿大監督(50)が決行した数々の“作戦”があった。DeNAとのCS初戦(横浜)が行われる5日は、くしくもラグビーW杯1次リーグの日本代表がサモアと激突。日本列島を席巻するラグビー以上の熱い戦いを見せる!

 阪神らしい勝利でCS切符をつかみ取った。0―0の4回、2番手・三ツ間から大山の適時打で先制し、さらに暴投で2点目をゲット。5回も二死一、三塁から相手の暴投を誘い貴重な3点目を奪い、その後は自慢の投手陣が鉄壁ぶりを発揮した。先発・青柳が自身初の規定投球回超えとなる5回無失点と今季一番の投球。引退登板となった高橋聡から岩崎、ジョンソン、藤川と盤石の必勝リレーで試合を締めた。

 10日のヤクルト戦(甲子園)に敗れて自力CSが消滅。3位だった広島とはこの時点で4・5ゲーム差あり、Bクラス確定は時間の問題と思われた。しかし、崖っ縁に追い込まれた中で驚異の粘り腰を発揮。12球団屈指の中継ぎ陣のフル回転に加え、ここまで期待を裏切ってきた大山、高山、北條ら若手野手が勝負強さをみせ始め、143試合目で3位に滑り込んだ。

 就任1年目でCS進出を決めた指揮官は「勝つか負けるかで大きな違いがある中で勝ち切れたことは価値がある。最後にこういう戦いができたのはチーム全体の成長につながっていると思う」とナインをたたえた。視察した藤原オーナーも「ファンの方の『シーズンを終わらせるな』という声援に後押しされた勝利。真摯にやってきた選手とファンの方々のおかげです」と笑顔をみせたが、奇跡のCS進出の裏にあったのは節目での“矢野流サプライズ”だ。

「シーズン序盤のある日、自分のロッカーを開けたら食パンが一斤入っていたんだ。よく見るとなかなか手に入れることができない超有名店の食パンだった。ビックリしたしうれしかったよ」(チーム関係者)。実は矢野監督は阪神沿線の“パン屋めぐり”をするほど大のパン好き。そうした経験値を生かし、コーチ陣やスタッフをねぎらうため入手困難な激レアパンを大量に取り寄せていた。そっとロッカーにしのばせる心憎い演出付きとあって首脳陣やスタッフからは大好評だった。

 チームの下降期には映像による“モチベアップ作戦”も決行した。負けが込んだ春先には全体ミーティングで、見た人に勇気を後押しするというユニット「我武者羅應援團」の動画を上映。屈強な男たちがとにかくガムシャラに応援してくれる映像にナインも大盛り上がりとなり、感動したベテラン・糸井がその後打ちまくってチームの躍進に貢献するなど効果てきめんとなった。

 8月の長期遠征期間中には病魔に立ち向かうがん患者のドキュメントで「生きて野球ができる喜び」を実感してもらい、ナインを奮い立たせてチームのV字回復につなげた。野球とは直接関係ない異例のサプライズや映像作戦に球団OBなどからは「何か意味があるのか!」「もっと野球のことを考えろ」との批判の声が上がることもあったが、信念を曲げず“矢野流”を貫いたことで大型連敗を阻止し、最後の追撃につなげた。

 5日からのCSファーストステージ(横浜)では今季16勝8敗1分けと相性抜群のDeNAに挑む。下克上へ、いい風が吹いてきた。