巨人で“ポスト阿部”探しが懸案事項となっている。巨人・大塚球団副代表編成担当は「やっぱり代打の阿部っていうのはね、スタンドの雰囲気を変えちゃうしね。あれだけの打者っていうのはなかなかいないもんですね」とその穴の大きさを痛感。その実績だけでなく、精神的支柱でもあったベテランの穴はとてつもなく大きいが、その筆頭候補が高卒1年目にして、二軍の首位打者を獲得した山下航汰外野手(18)だ。

 山下航は群馬・健大高崎から昨年の育成ドラフト1位で入団し、7月に支配下登録を勝ち取った。29日のイースタン最終戦となったロッテ戦(ジャイアンツ球場)を終え、打率3割3分2厘(90試合、319打数106安打)で首位打者に輝いた。

 高卒1年目での二軍首位打者は1960年の高木守道(中日)、92年のイチロー(オリックス)に次ぐ3人目の快挙。当の山下航は「あまり実感が湧かないです。(イチローに並んだ?)そんな人と比べちゃいけない」と恐縮しきりだ。

 高田二軍監督は「阿部の穴というのは補強ではなく自前で育てないといけないと思っている。候補としては同じ左の山下、右打者の内野手・北村。一軍では左の大城。もちろん2~3年かかるかもしれないし1人では埋められないかもしれないけど、成長していってもらいたい」。球団関係者も「将来的に阿部の穴を埋めてもらえたらうれしい。イチロー以来の快挙という点でも山下への期待は大きい」という。

 今季は二軍で7本塁打。飛距離アップも課題となるが山下航自身も阿部を目標にしており、「高校の時とか(阿部の打席の)連続写真を見ていました。一軍ではお話をさせていただいたし、ベンチでもなるべく隣に行くようにしていた」と振り返る。阿部からもらった“金言”は「一つありますけど言えないです」(山下航)と胸の内に大切にしまっているという。

 CS、日本シリーズと今後も阿部の試合は続いていくが、後継者レースはすでに始まっている。