「打撃のチームが栄えた歴史はない」――そんな日本プロ野球の常識を覆した西武が、今年もチーム防御率リーグワーストの4・33(24日現在)でプロ野球史上初のリーグ連覇を果たした。

 今季142試合目となった24日のロッテ戦(ZOZO)に、打撃のチームらしく12安打12得点で大勝。辻発彦監督(60)は「中盤ちょっと苦しかったんですが、本当に選手たちの夏場からの頑張りには私たちがビックリするくらい、本当に頑張ってくれた結果だと思います」と8月以降を31勝16敗(勝率6割6分)で駆け上がってきたナインをねぎらった。

 中でも12球団で西武だけが持つ最大の強みが、142試合を終えてチーム打率2割6分6厘、173本塁打、134盗塁で755得点を叩き出してきた圧倒的な攻撃力だ。

 昨年の打点王・浅村(127打点)の流出を感じさせない驚異の得点力は、つなぎ役・外崎をして「僕なんかオマケみたいな存在。この打線の中にいるから打てている部分が多分にある。1打席ぐらい凡退しても落ち込む必要は全くない。次から次へとチャンスが回ってきますし、僕が打つ前にもう点が入っている」というほど。

 こんな打線は2001年の近鉄いてまえ打線(チーム打率2割8分、211本塁打、770得点)以来のレアケースだろう。しかし、西武打線がいてまえ打線を超えた点は、チーム防御率2年連続リーグワーストの弱い投手力をフルカバーし、リーグ連覇を成し遂げたこと。

 01年シーズンをチーム防御率4・98(優勝チームのワースト記録)で優勝した近鉄は翌02年、西武に及ばず2位と連覇を逃している。

 一方の西武は昨年、チーム防御率4・24のリーグワーストで優勝。今年も1試合を残し、同4・33の圧倒的な打高投低で長いプロ野球の歴史を覆す投打のレア編成で「連覇」を果たした最初のチームとなった。