巨人・阿部慎之助捕手(40)が、今季限りで現役を引退することが24日までに明らかになった。1年目から正捕手として活躍。通算2000安打、400本塁打を達成し、間違いなく球団の史上最強捕手だ。プロ19年目の今季は主に代打での出場となったが、8月からは先発出場も増加。変わらぬ健在ぶりを示してきたが、チームが5年ぶりのリーグ優勝を果たしたことで身を引く決意を固めた模様だ。
「G史上最強捕手」がバットもミットも置く。今季は4年ぶりに志願の捕手復帰を果たすも、コンディションが整わず、「代打の切り札」として開幕を迎えた。それでも、ここ一番での勝負強さは健在だった。一時の首位独走にブレーキがかかり2位に0・5差まで迫られた8月7日の中日戦から本格的にスタメン復帰。「5番・一塁」で起用されると5回に駄目押しの4号2ランを放って連敗を6で止めた。原監督も「慎之助に頼ってしまった。見事」と脱帽したほどだ。以降は先発出場も増え、マスクはかぶれずともバットでチームに貢献してきた。
チームは昨季まで球団ワーストに並ぶ4年連続のV逸。近年の阿部の口からは「(チームを)任せられるヤツが出てこないと辞められない」などと、どこか自分の“引き際”を意識した発言が増えていた。そして今季は悲願のV奪回。久しぶりのビールかけも味わった。振り向けば、2014年オフに主将のバトンを渡した坂本勇も強いリーダーシップを発揮しながら絶対的な中心選手となり、主砲・岡本を筆頭とする若い世代も芽吹きつつある。ようやく世代交代が進んだ状況も、阿部が重い決断を下す後押しになったようだ。
阿部は00年のドラフト1位で中大から巨人に入団。常勝軍団の正捕手として1年目から活躍。不動の地位を築く一方、打っても主砲として12年には打率3割4分、27本塁打、104打点でMVPも受賞。獲得したタイトルは数知れず、07年から8シーズン務めた主将ではリーグ優勝6度に2度の日本一。原監督に「慎之助のチーム」と言わしめたこともある。17年8月には巨人生え抜きで5人目となる通算2000安打、今年6月には通算400本塁打を達成した。
球団にとっても阿部は生え抜き屈指の功労者で、引退後は指導者の道を歩むとみられる。阿部もそのつもりだろう。
ただ、戦いはまだ終わっていない。気力も技術も健在だ。23日のヤクルト戦も6回に代打で起用されると中前打を放った。さらに4―5の8回一死で同点の6号ソロを右翼席へ叩き込んだ。CS突破、そして日本一へ。背番号10が“有終の美”へラストスパートをかける。