ソフトバンクは投打ともにかみ合っての快勝だった。先発の高橋礼は7回を2安打無失点に抑えて12勝目をマーク。6回途中5失点だった前回18日の楽天戦から中4日で立て直せたのは、王貞治球団会長(79)に呼ばれて個別で「打者というのは自分の方に向かってくるボールが嫌なんだよ」などとアドバイスされたことがきっかけだった。

 本拠地最終戦となった18日から21日までの4連戦で、王会長はグラウンドにも飛び出して縦横無尽に動き回った。助言を送ったのは高橋礼ばかりではない。戦況については最後の最後までもつれることを予想し「これから先、いろんなことがあるから。選手の調子、チームの勢いもある中で、今一番いいということをやっていくしかない」と話していた。

 実際、2ゲーム差をつけられて西武のVムードが高まっていた20日の日本ハム戦前にも王会長は「あっち(西武)は中軸が打っている。うちは逆に打てていない。9月に入って野手も投手も向こうがいいし、それが結果に出てしまっている。ただ、こういうのはガラッと変わったりするから。一つの勝ちがきっかけになったりもする。うちも中軸が打てば勢いがつくからね」と“予言”。日本ハム2連戦では計2点しか奪えなかったが、その後のオリックス2連戦では計14点と打線が息を吹き返した。

「世界の王」が読んでいた通り、当たりの止まっていた柳田とデスパイネが復調してきたことで2連勝した。「最後はどちらの気持ちが強いかにもなってくるから」(王会長)。ナインもレジェンドの“予言”を信じて最後まで戦い抜く覚悟だ。