隠れ巨人のMVP 捕手・小林のずぶとさ

2019年09月24日 16時30分

マシソン(左)らとはしゃぐ小林(左)
マシソン(左)らとはしゃぐ小林(左)

 今季、巨人からMVPを選ぶなら坂本勇しかいない。その一方、もっと評価されてもいい“隠れMVP”もいる。開幕前からほとんど期待されず、出場機会も激減すると見られていた6年目の捕手・小林である。

 原監督が復帰した今季はFAで前西武・炭谷を獲得。成長株の宇佐見は日本ハムへ放出したが、若手の大城、岸田らにもチャンスを与える方針を打ち出した。まるで小林など要らないと言わんばかりだった。

 小林にとって最も屈辱的だったのは、炭谷が右手人さし指骨折で登録抹消となった8月2日のDeNA戦だろう。原監督は小林をスタメン起用しながら、4回から突然2年目の岸田に代えた。それも先発投手の今村は続投で、捕手の小林だけ交代させたのである。その上、翌日、同じカードのスタメン捕手は岸田だった。

 これで思い出したのが原第2次政権の2014年、やはり今村―小林のバッテリーでヤクルトに敗れたときのこと。当時、原監督は試合中から小林のリードに激怒し、事態は吉原バッテリーコーチの二軍降格へと発展した。そのころから、原監督が小林の能力に不満を抱いていたのは間違いない。

 しかし、炭谷と阿部がフルに出場できず、大城や岸田も力不足とあっては、原監督も小林を使わざるを得なかった。それでも小林の刺殺数は巨人の捕手陣ではダントツで、小林を指導した経験を持つ巨人OBが言う。

「リードや配球ではまだまだかもしれません。が、目立たないながら、着実に成長しているところもある。以前の小林は投手とのコミュニケーションが淡泊で、ただサインを出しているだけだった。それが最近では、身ぶり手ぶりで低めに集めろ、このコースに気をつけろと、しっかり自分の意思を伝えているんですよ」

 今季の投手陣は、先発で4年目の桜井や新人の高橋、リリーフで中川や高木など、経験の乏しい若手のやりくりが続いていた。そんな中で、小林も投手陣を引っ張る術を身につけたようである。しかし、前出のOBはニヤリと笑って言った。

「小林の一番の長所はずぶとさです。昔から、どんなに首脳陣に怒られてもケロッとしてるもん」

 となれば、これからも原監督の元で正捕手を務める素質は十分、かな。

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