ソフトバンクが14日の日本ハム戦(札幌ドーム)に3―1で快勝。マジックを1つ減らして11とした。勝利の立役者が松田宣浩内野手(36)だ。2回の打席では自らの判断で優勝への執念を体現する犠打を決めると、6回には大台到達へリーチをかける29号ソロを放った。ここぞのシーズン最終盤で存在感を見せている。そんな松田宣は“熱男の矜持”を持ってチームの柱として全試合出場を目指している。

 松田宣がバットでチームを勝利に導いた。6回、二死走者なしから有原のフォークを左翼席に運んだ。貴重な追加点となる29号ソロ。ベンチ前でおなじみの“熱男コール”を響かせた。工藤監督も「1点欲しいところで打ってくれた」とたたえた。

 過去、5度のリーグ優勝と日本一を知る。今季のような終盤までもつれるマッチレースも経験してきている。2014年はシーズン最終戦がオリックスとの直接対決で、優勝を決めるサヨナラ打を放った。「僕らは経験をたくさんしてきてもいる。生かしていきたい」と話す。

 この日にしても2回に無死一、二塁からセーフティー気味に送りバントを成功させた。過去4年、犠打0だった男が今季は2度目。自らの判断だった。「打てのサインだったけど、残り試合で無死一、二塁のチャンスが何回来るか考えた」。得点にはつながらなかったものの、序盤から攻め立てたことが、有原に4安打に抑えられながらも3点を奪っての勝利につながった。

 ここまでチーム唯一の全試合出場。36歳のベテランが元気いっぱいにシーズン完走へ向かっている。チームは毎年のようにV争いをして最後まで戦っており昨季も今季も故障者が多い。そんな中で2015年から全試合出場を続ける松田宣の存在はひと際目立つ。まさに驚異的な体力だが、疲れはないのだろうか。

 松田宣はこう口にする。「疲れなんて…。それは言わんですよ。結果が出てない時もあって、それが疲れなのかもしれないけど、試合に出たいと思って出ることができている。ほかの人にそう(疲れていると)思わせてはいけない。全試合グラウンドに立つことが自分のモチベーションですから」。仮に疲れがあったとしても、周囲には感じさせたくない。元気印の「熱男」としての“矜持”を持って三塁の定位置に立ち続けている。

 8月に調子を落としていたものの、9月に入ってからは11試合で打率2割8分6厘、4本塁打と再び状態を上げてきた。残り11試合でのマジック11は決して楽な状況ではないが、経験豊富で元気いっぱいなベテランがここぞの最終盤で頼もしい働きを見せている。