巨人は12日、2位DeNAとの直接対決第3ラウンド(横浜)を8―5で制し、今カード2勝1敗と勝ち越し。優勝マジックを2つ減らし「7」とした。ライバルに5ゲーム差をつける快勝劇の立役者は仰天のツイスト打法で2本塁打5打点の丸佳浩外野手(30)。ただ、気がかりなのはこの日も含めて2戦計4被弾のネフタリ・ソト内野手(30)の存在だ。もはや手のつけようのない天敵砲に今さらながら「あの時、獲っておけば…」とじだんだを踏んでいる。

 勝つには勝ったが冷や汗の連続だった。9回にも守護神デラロサが代打・佐野に2ランを浴び、敵地の異様な盛り上がりのなか、辛くも逃げ切った。ライバルに大ダメージを与えたのはFA戦士・丸の2発だ。インパクト後も下半身の開きを極限まで抑えたツイスト打法で4回は右翼席、8回は反対方向の左翼席へ運ぶ“曲芸弾”。初回には先制打も放ち、3安打で5打点を叩き出した。

 幾多の大打者を間近で見てきた原監督も丸の技術には「いやあ見事でしたねえ。本人が誰かに言われるわけでもなく、きちんと調整してくるところがすごいですね。たぶん、1本目のホームランなんか、打球見えてないんじゃない?」とうなるばかりだった。

 シーズン終盤に訪れた首位対決を勝ち越したとはいえ、見過ごせない現実もある。前夜に3発を許したソトに、この日も2回の1打席目で一発を浴びた。今季40本中、実に12本目だ。その後は遊ゴロ併殺、申告敬遠、中飛だったが、指揮官の表情は冴えない。

「まあ誇れるものではないよ、しかし…。ようホームラン打たれてね。まだ戦いは続くし、これはやっぱり教材として次に生かしていかないとですね。かなり打たれたよね。こっちは5本か。横浜は8本。その部分は決して誇れるものではないですね」

 今回の3連戦ではソトの4発を含め計8被弾。DeNAとは3試合を残し、CSで再び激突する可能性もある。首脳陣を中心に対策を講じても上回ってくる敵の大砲に、お手上げの感すら漂う。しかも、今になって「あの時、ソトを獲っておけば…」と悔やむ声も後を絶たない。

 というのも、ブレーク前のソトの底知れぬ才能に早くから岡本らが気づいていたからだ。2016年オフ、プエルトリコでのウインターリーグに派遣された岡本たちは現地で遭遇した“無名の金の卵”に度肝を抜かれていた。「とんでもない選手がいる…」。同行していた会田ファーム投手兼トレーニングコーチらも絶句したという逸材が、実はソトだった。現地の情報に現場からは「何で球団は獲らないの?」と首をかしげる者もいた。

 逃した魚は2年連続で40本塁打以上とデカく、今やすっかり巨人の天敵になった。ソトは推定年俸9500万円+出来高払いで、来季に関しては球団が契約延長の選択権を持つ。巨人が“強奪”しようとしても可能となるのは事実上、来オフとなる。来季を見越しても、どうにかしてソト封じを完成させるしかない。