強がりなのか、本気なのか…。西武は12日のソフトバンク戦(メットライフ)に2―3で敗れた。130試合目でつかんだ首位の座は一日天下となり、ライバルにマジック点灯を許した西武・辻監督は「面白くなったね。最後、お客さんも帰れなかった。惜しかった、あと一歩だった」と9回の反撃を振り返った。

 中村の29号ソロで1点差とし、なお二死一塁で山川に一発が出ればサヨナラという見せ場はつくったが負けは負け。それでも指揮官は「チャンスはまだいっぱいあるでしょう。選手たちはリラックスしていたが、気持ちが入っていて大変な2日間だった。だからこそ明日からが大事。気持ちを入れて、目の前の相手に負けないようにやっていくしかない。そこが一番大事」と力強く言う。

 ソフトバンク、西武とも残り12試合だが、内訳に違いがある。西武はCS争いを演じる3位ロッテ、4位楽天と各5試合を戦うのに対し、ソフトバンクは既に自力でのCS進出の可能性が消滅している5位日本ハム、6位オリックスと各5試合を残す。ゲーム差以上に不利な状況にあることは間違いないが、逆転でのリーグ連覇に闘志を燃やしているのは辻監督ばかりではない。

 0―0の8回に今季74試合目の登板を果たし、グラシアルの先制弾を含む2失点で敗戦投手となった平井は「負けたのは僕の責任。今年一番大事と思える試合で納得のいく投球ができなかった」と唇をかみしめつつも、こう言って前を向いた。

「CSの可能性の低いチームは個人タイトルを狙いに来るんでやりにくいところがある。逆にウチは緊張感を持っていつも通り戦えると思う。今はマクれることを信じてやるだけです」

 突き落とされた先は谷底ではない。獅子の目はまだまだ獲物に狙いを定めている。