巨人M9再点灯 想定外の“笑利”

2019年09月11日 16時30分

試合後、ファンの声援に帽子を取って応える岡本

 巨人が10日のDeNA戦(横浜)に4―2で勝ち、優勝マジック9を再点灯させた。ヒーローは逆転2ランを含む2打席連続本塁打を放った主砲・岡本和真内野手(23)だったが、チームにとって最大の想定外は“敗戦覚悟”で送り出した、元守護神のライアン・クック(32)だ。二軍塩漬けの危機から、初先発で4回途中1失点の好投。天敵相手の逆転勝ちで、2位との直接対決3連戦に先勝し、5年ぶりのVへ一気に加速しそうな勢いだ。

 これぞ4番の働きだった。天敵の相手先発左腕・今永に、この日も5回まで無得点。巨人ベンチを支配した嫌なムードを岡本のバットが振り払った。0―1の6回二死一塁から左中間席上段へ特大の27号逆転2ラン。3―1の8回はエスコバーからトドメの28号ソロを左中間席へかっ飛ばした。68センチの“G最強太モモ”パワーがさく裂し、ヤマ場の3連戦初戦をモノにした。

 マジック再点灯にも、岡本は「僕は初体験なので、あまり気にせず一試合、一試合しっかり頑張りたい」と淡々。原監督は岡本の殊勲打に「ああいう場面(四球直後の初球)でチェンジアップをホームランにするっていうのがね。本来ならば真っすぐをカーン!とね。すごいというのか、僕としては物足りないというのかね…。僕なんかじゃ測れないとこ」と独特の言い回しで賛辞を贈った。

 主役は間違いなく岡本だったが、助っ人右腕の予想外の好投も今後の追い風となりそうだ。今季から加入したクックのそもそもの役割はクローザー。しかし、故障やクイック投法だけでなく制球にも難があり、8月からファームで先発として調整していた。今回、メジャー時代にも経験しなかった先発の出番が回ってきたのは、チームの苦しい台所事情があったからだ。

 今村、メルセデスを相次いで登録抹消し、極め付きはエース菅野の戦線離脱…。いよいよ先発の頭数が足りなくなり、元守護神が先発する異常事態となった。そのクックが初先発で4回途中まで69球、4安打、3四球を与えながら1失点とまずまずの結果を残したのだから驚きだ。

 実際、7月30日に二軍落ちした後のクックに対する首脳陣の評価は“最低ランク”で「シーズンで普通にブルペンに入って投げるといっても、そこのポジションにはもう他の選手がいる。その昔、マシソンが先発調整して直球が良くなったケースもある」「クックは使えるチャンスが一つでもあればいいなということ。このまま(再昇格せずに今季が)終わるかもしれないけど」と散々な言われようだった。

 本人は降板後に「自分が思っていたイニングを投げることができなくて悔しい」とまるで敗者のような弁を並べたが、宮本投手総合コーチはクックの次回登板について中5日で16日の阪神戦(東京ドーム)で起用する可能性を示唆した。

 もちろん、クックからバトンを受けた高木らブルペン陣の踏ん張りも大きいが、チームにとっては“ダメもと”で送り出したクックで勝ちを拾えた見返りは大きく、今永で勝ちを計算していたDeNAに与えたダメージも計り知れない。

 V奪還へ、いよいよスタートしたカウントダウンも加速しそうだ。