中日が5日の巨人戦で2点ビハインドから8回に一挙3点を奪って逆転勝ちに成功。2016年9月以来、3年ぶりの巨人戦3連勝を飾った。上げ潮ムードに乗る中日だが、その裏では巨人との“場外バトル”を制したことが弾みの一つにつながっていた。

 中日は3日に新潟でこの3連戦の初戦に勝利し、4日は群馬・前橋市で2戦目があり、3日の試合後に両チームともに3台のバスで新潟のハードオフスタジアムを出発。ところが、高速道路の湯沢ICから水上IC間で事故が発生したため、通行止めの規制がかかった。巨人のバスは3台とも途中で高速道路を降りて峠道や一般道を遠回りして、前橋市内の宿舎に到着したのは午前1時過ぎになってしまったという。

 一方、中日は伊東ヘッドコーチの提案で、予定よりも休憩を1時間以上も早めて規制区間手前の越後川口SAで約10分ほど停車。その後、5分ほど走りだした直後に運よく規制が解除されたため、そのまま2時間半ほどで予定通り午前0時半ごろには高崎市内の宿舎に到着できた。

 前橋と高崎は新潟からの距離はあまり変わらず、バスに缶詰めにされたらわずか30分差でも疲労度は大違いだ。チーム関係者が「伊東ヘッドのファインプレー。あのまま休憩せずに走っていたら湯沢インターで降りることになっていた。選手のコンディションとかを考えれば、事故による余計な負担がほとんどかからなかったのでよかった」と言えば、与田監督も「サービスエリアに寄ったのがよかったのかな」とニンマリだ。

 中日のある選手は「大渋滞で一時はどうなるかと思ったけど、巨人は高速道路を降りるハメになって、それよりウチはかなり早く着いて運がよかった。巨人の選手は相当つらかったのでは。ウチの選手の方が動きがいいのも当然ですよ」とほくそ笑む。中日球団幹部も「原監督の乗っていたバスは降りて山道を行ったみたいだね」とバスでグッタリする敵指揮官の姿を思い浮かべ、してやったりの表情だ。

 幸運のバス効果で中日ナインは巨人より心理的にも優位に立って戦えたというワケ。与田監督は「昨日の流れのままいい形で勝てたので、また名古屋に帰って続けたい」と力強く胸を張った。