Vロードに暗雲だ。4日の中日戦(前橋)に先発した巨人・菅野智之(29)がコンディション不良を訴え、2回4失点で緊急降板。チームも4―8の逆転負けで今季5度目の4連敗を喫した。週明けには2・5ゲーム差まで迫ったDeNAとの直接対決も控えるなか、相次ぐ先発陣の不調と登録抹消でコマ不足に…。二軍で先発調整していたクックを巡ってもドタバタ劇が繰り広げられ、Gの屋台骨が根幹から揺れている。

 5年ぶりの栄冠へひた走る原巨人に痛恨のアクシデントだ。菅野は初回こそ三者凡退で滑りだしたが、2回に5安打を集中されて一挙4失点。一塁ベースカバーに入った後に足を気にするそぶりも見せ、直後に宮本投手総合コーチとトレーナーがマウンドへ急行した。首脳陣は協議の末に2回で降板を決め、その後は宮国、高木のリリーフ陣が失点を重ねて大敗となった。

 腰に爆弾を抱える菅野の下半身に何らかの異常が発生したもようだが、原監督は「正常じゃないってことでしょうな。明日の様子を見て。詳しいことはなかなか言えない」と語るにとどめ、宮本コーチは「明日の様子を見てみないと分からない。本人と話したんですけど、相当落ち込んでました」とした。

 早期降板は菅野のダメージを最小限に抑える応急措置ながら、不安材料が増した。首脳陣は勝負の9月を菅野、山口、桜井、高橋、メルセデスの5人を軸に登板間隔を最大で中4日まで詰めてローテを回す算段だった。ただでさえ、8日のヤクルト戦(神宮)の先発が宙に浮いていたなかで、この日は3日に3回もたず降板したメルセデスを抹消…。さらに、ローテ候補の今村も2日に抹消した直後だった。

 戦力供給源となるファームのG投もパッとしない。岩隈は先発のメドが立っておらず、ホープの高田も8月31日の三軍戦に登板したのが最後。直近の成績ではトレードで途中加入した古川、度重なる制球難で二軍落ちしたヤングマンぐらいしか見当たらない。

 加えて、この日から一軍に合流した元守護神の扱いを巡ってもバタついた。二軍で先発調整していたクックは、8日の来日初先発とリリーフ“再転向”の両にらみ。この日、首脳陣がクックを前橋まで呼んだのは、本人の状態と意思を直接確認することが主眼だった。実際、宮本コーチは練習中に「今日は登録しません」と話したが、その後、出場選手登録にクックの名前が公示された。

 8日に先発させるならば、当日に登録すれば済む話。試合前の段階ではリリーフ起用が念頭にあったはずで、一時はブルペン待機も検討されたが結局はベンチ入りせず。首脳陣の苦悩をにじませるように、スタメン表には出場選手を示す丸印が二重線で消され、不出場を表す「△」が記された。

 しかし、菅野の不調も重なり、いよいよ先発不足に拍車がかかったことで試合後にクックの役割が“再度変更”された可能性も。助っ人右腕の役割について指揮官は「見ててください。簡単には言えません」と意味深な笑みを浮かべて帰路に就いたが…。

 いずれにせよ、来週は10日からDeNAとの頂上対決3連戦を皮切りに広島、阪神と7連戦。ただでさえコマ不足の上に菅野のアクシデントまで加わった原巨人は、どう乗り切っていくのか。