虎の守護神・球児 シブコに共感「過去は振り返らない」

2019年09月03日 16時30分

39歳にして守護神の座を実力で奪い返した

 今季8月から阪神の守護神に復帰した藤川球児(39)が逆転CS進出に燃えるチームをけん引している。8月31日の巨人戦(甲子園)では現役最多となる通算235セーブ(歴代単独4位)を達成。阪神復帰後は先発、敗戦処理も含めた中継ぎ…と何でもやってきた男が、かつての「仕事場」を底力で奪い取った。球団は近日中にも残留を要請すると見られる。“松坂世代”の面々が次々と引退する中、今の原動力を聞いた。

 かつては虎の最強救援トリオ「JFK」の一員として君臨。代名詞となった「火の玉ストレート」は今さら説明するまでもないが、それにしても今もなお、きつい抑えで再び第一線に立てる力はどこから来るのか。

 藤川:現状に満足せず、過去を絶対に振り返らないことだと思う。自分は常に成長していきたい、まだレベルの高い、何か見てない世界があるんじゃないかと。成長がなくなったら僕はいつでも野球を辞めますよ。今は「抑えに復帰する」との今季目標を成長の一つとして上ったということ。メジャーから独立リーグに行って、NPBに入り直して4年目。敗戦処理も2年くらいやって、野球人生にとってはつらい時間もあった。でも、トータルで見たらそれも充実してた。でも、一方許せない自分もいたんです。また、人から「藤川の力は落ちた、抑えは無理やろ」とか言われてきたことをバネにしてきたから、今(抑えに)帰ってくる準備が整ったという感じですかね。

 投手陣のリーダーとしての大役も引き受けてきた。戦っているのはマウンド上だけではない。ここにきて「不眠症」とも対峙しているという。

 藤川:夜がなかなか寝つけないんです。明日のことやデータ、どう戦略を立てようかとか考えてたら目がさえてしまう。寝ても4~5時間ぐらい。自分の対策が他の選手にも生かせると思うと、また時間がかかるんです。この世界、しっかり準備することが成果に表れるし、自分が知って動くことで周りを助けられる。発見したり、配球とか気がついたことはみんなに言ってますが、詰めていく作業は本当に難しい。そういう意味では家に帰っても無駄な時間はない。寝られない分は試合前にうまく仮眠をするなどして対処しています。

 しかし、チームは4位と苦戦している。得点力に問題がある一方、両リーグワーストの失策数も悩ましい。投手陣のリーダーはこの現状をどう思っているのか。

 藤川:チームとして下手なだけで、難しいけど感性を磨いていくしかない。ただ、野手の失策で僕らが不満に思ったりはない。投手は人のせいにできないポジション。僕らも暴投とかあるし、そこは共同体だから。投手が(野手の)予測がつかないところに打たしたらいけない、という部分もある。投手は大体ここ投げたらここに飛ぶというのは分かるんですが、今はそこまで打球予測をできる投手が少ない。だから逆に申し訳ないところもあるんです。百何十個これからエラーするかもしれないけど、そこは(練習や経験を積んで)数やるしかない。僕らもエラーされるとこに打たれるのが悪いと思ったり(失策されて)嫌だったら自分でアウトとるしかないということ。そこは各自がプロとしてクレバーになるしかない。

 来年で不惑を迎えるが、若いアスリートからも刺激を受けている。

 藤川:全英で初優勝した女子ゴルファーの渋野日向子さん。まだ20歳で若いのにコメントを読んでいるといいことを言っている。初めて偉業を決めると余韻に浸るのが普通。なのにもう「過去は忘れた」と前を向いているのが何よりいい。まだまだ僕も同じプロとして頑張らないといけないと思ってますよ。

 逆転CS進出に全身全霊をかけてマウンドに立つ藤川。今後も目が離せない。