リーグ連覇も見えてきた。西武が30日、首位ソフトバンクを本拠地に迎えての天王山初戦(メットライフドーム)に4―2で逆転勝ち。最大8・5あったゲーム差をついに1まで縮めた。ヒーローは捕手として5投手を巧みにリードし、2―2の7回に3戦連発となる決勝2ランを放った森友哉(24)だ。

 プロ6年目で初となる20号は打った瞬間にそれと分かる完璧な当たりだった。相手先発・千賀の投じた初球、外角高めへの151キロを一閃。レオ党が待つ左翼ポール際に値千金の一発を放り込んだ。「初球から前に飛ばしたいと思っていました。最初は切れたかなと思ったんですけど、切れずにスタンドに入ってくれて良かったです」

 大事な初戦を制した辻監督は森の一打について問われると、開口一番に「天才です」と言い「一死から源田が出て、ここでヒットが出て一、三塁になったらいいなと思っていたら打った。(打った)瞬間だったよね」と絶賛した。

 打率3割3分7厘でリーグトップに立つ「打てる捕手」の天才ぶりについては赤田打撃コーチも賛辞を惜しまない。「ボールにコンタクトするバットコントロールの技術も素晴らしいけど、森の一番の良さは思い切りだと思う」と切り出し、こう続ける。

「例えば3ボールになって普通の打者は多少なりとも凡打するリスクを考えて打ちにいかない。でも、アイツの場合は『3ボール? 一番おいしい球が来るやん』というような考え方ができる。打席の中で迷いなくそう思える考え方こそが天才的なんだと思う。しっかり割り切った上で状況に応じた打撃もできる。ホームランの打席は真っすぐ全般を狙った上で、外角球に絶対に手首を返さないという打ち方だった」

 天高く舞っていた鷹は射程にとらえた。「今日の1勝は大きい」と辻監督。170センチの小さな天才が攻守の要としてチームを頂点へと導く。