巨人が29日の広島戦(東京ドーム)に12―4で大勝した。1点を追う2回、大城の右翼線2点適時打で逆転すると、3回には主砲・岡本の26号3ラン、丸の23号満塁弾などで一挙10点を奪って、早々と試合を決めた。

 この日、テレビ解説を務めたOBの松井秀喜氏と高橋由伸前監督の前で、最高の試合となった。注目はやはり岡本の一発だろう。昨年の春季キャンプ、臨時コーチとしてキャンプ地を訪れた松井氏がマンツーマン指導を施したのが、伸び悩んでいた岡本だった。

 あれから1年半、試行錯誤しながら「巨人の4番」を張る姿を“師”である松井氏、さらに4番に抜てきした由伸前監督に生で見せることができた。松井氏も解説席で「素晴らしいホームラン。(外角の)カットボールを逆方向に打てるのが今の野球には必要ですからね」とたたえれば、試合後の原監督も「あの場面で初球をライト方向に打てるというのは、精神的にも集中力というものができていたんじゃないでしょうかね」と評した。

 投げては先発・桜井が大量リードに支えられ7回3失点。前回登板で変化球主体だったことに原監督から「なんか変化球ピッチャーになろうとしてるんじゃないか」と苦言を呈されていたが、今回は「どれだけガンガン攻められるか」(桜井)と直球メインに組み立て、見事に試合をつくった。

 これで優勝へのマジックは「18」。ついたり消えたりするのがマジックだが、減り始めると早いのもまたマジックだ。松井氏、由伸氏の“御前試合”での爆勝は、さらにチームに勢いを与えそうだ。