右ヒジ炎症で二軍調整中の中日・松坂大輔投手(38)の来季去就を巡って、チーム内で波紋が広がっている。球団側が「来季の契約について現時点で白紙のまま」を強調。残留か移籍かについてチーム内では「来年も契約して残ってもらうべき」「もうウチのチームでの役目は終わったのでは」などと賛否両論の意見が噴出しており、さらには「引退の可能性だってあると思う」との声まで。「平成の怪物」の去就問題が紛糾している。

 29日、阪神戦が雨天中止となった甲子園で、加藤宏幸球団代表(60)は松坂の来季去就について「話し合うというか、彼の意向を聞くだけです。本人の意思を確認した方がいいと思って」と近日中にも会談することを示唆。しかし「彼がやりたいと言ったとしても、球団が来年契約するかは別の話で分からない。来年の編成をどうするか固まっていないし(与田監督とも)相談しないといけない。そこまで詰まっているわけじゃない」とあくまで白紙を主張する。

 その上で球団は松坂を“特別扱い”しない方針を貫くという。加藤代表は「たまたま彼が名前がある球界の功労者の一人ということでみんなが注目しているけど、功労者だから残すとかそういう話ではない」と説明した。

 松坂の去就問題はナインの間でも動揺が隠せない。ある投手は「できれば松坂さんには残ってほしいですね。若手にも積極的にアドバイスしてくれるし、まだまだ教えてもらいたいことがいっぱいある。今季は土壇場まで追い込まれてしまって、ここからまた復活していく姿を目の前で見てみたい。プロ野球選手としてお手本になるところがいっぱいあるので」と残留を熱望している。

 一方、ベテラン野手は「いつまでも松坂さんに頼るとか言っていてはダメでしょ。若手がどんどん成長して、松坂さんがもう一軍で登板できる場所がないぐらいの意地を見せていかないといけない」と“不要論”を説く。

 チーム関係者も「いくら松坂が人気と実績がある選手だからと言っても、戦力にならない選手はやっぱりチームに置いておくわけにはいかない。そのあおりを受けて出番がなくなった選手が腐ってしまったり、示しがつかなくなる。阪神の鳥谷も去就問題が勃発しているけど、あっちは生え抜きの功労者で、松坂は中日に来てわずか2年だけの外様だからね。どっちかを残留させるとなれば断然鳥谷の方では」と指摘する。

 今季の松坂は2月のキャンプ中にファンと接触した際、右肩炎症を起こして調整が大幅に遅れ、一軍登板はわずか2試合。初登板となった7月16日の阪神戦(ナゴヤドーム)は5回2失点にまとめたが、同27日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では初回に一死を取っただけで8失点と大炎上してプロ最短KOの屈辱を受けた。

 それだけに別の関係者は「本人はボロボロになっても、独立リーグに行ってでも、現役続行にこだわりを持っているようだけど、今シーズン中に引退を決断した上原(巨人)のような英断もありだよ。晩節を汚す前にユニホームを脱いで指導者やタレントとなった方がいいのでは」との声も出ている。今後、松坂本人がどのような決断を下すのか目が離せない――。