やはり千葉は鬼門だった。9回は1点差まで詰め寄り、なおも二死満塁と相手守護神・益田を攻め立てたが、あと一歩及ばなかった。さすがに試合後は工藤監督の表情も険しく「何とか(3連戦で)1つは取りたいと思ったのですが悔しいですね。今年はロッテに苦しめられている。地元(ヤフオクドーム)で4試合あるので、しっかりした戦いをしないと」と唇をかんだ。

 今季のロッテ戦は6勝15敗。日本ハム戦とオリックス戦が13勝6敗1分け、2位西武にも11勝9敗と勝ち越し、楽天とは10勝10敗のイーブンであることを考えれば異常な数字だ。なぜか?

 ロッテOBで本紙評論家の得津高宏氏は「どっちが首位のチームか分かりません。ここまでの相性はあり得ないことですよ」と切り出し「ソフトバンク側が首脳陣を含めて意識過剰になってるんです。ロッテ側に聞いても『相手が勝手にこけてくれる』と言うんですから。相性とはそういうものでしょうが、ロッテは明らかに他チームと比べてノビノビと戦っています。逆にソフトバンクは普段の戦い方とは違うように映ります」との見解を示した。

 ロッテには鳥越ヘッドコーチをはじめ、清水バッテリーコーチなど鷹OBがズラリと揃う。古巣を知り尽くしている相手だけに、特に正捕手・甲斐のリードの傾向が読まれているとの声もチーム内からは出ている。その点についても得津氏は「もちろんリードの傾向はありますよ。ただ、それは今の時代、他球団も分かること。甲斐のように年間通して守っている捕手なら出ます。そこにロッテだけが分かり得る情報がどれだけあるか。そもそもバッテリーコーチなんて各球団を渡り歩いてますよ」と強調した。

 内容も悪い。ロッテ戦は21試合で33本塁打を浴び、与四死球は107。甲斐が厳しいコースを要求しすぎているのか、投手に制球力がないのか、カウントを悪くしているシーンも目立つ。

 ロッテ戦では、まるで蛇ににらまれたカエルとなってしまっているソフトバンクに特効薬はあるのか。「ここまで相性が出ると簡単ではありませんが、まっさらな状態で戦えばソフトバンクが勝てるはずなんです。その意味では現在4勝5敗のヤフオクドームでの残り4試合でどう戦うか。もちろん甲斐を外すなんてもってのほか。奇をてらわず、シーズンで勝ってきたように一つひとつを戦えるかが鍵となります」(得津氏)

 今季2勝10敗のZOZOマリンでの戦いは終わった。次回対戦は9月6日からの4連戦。最後に本拠地で意地を見せられるか注目だ。