巨人は23日のDeNA戦(東京ドーム)に1―5で完敗。優勝マジック点灯はまたもお預けとなったが、この日から頼れる剛腕スコット・マシソン(35)が約1か月ぶりに一軍復帰を果たした。1回無失点で復活を印象づけたものの、周囲は剛腕の今後に戦々恐々。実は通常歩行にも違和感があり、選手生命を危ぶむ声すら上がっている。

 なす術もなかった。打線は苦手とする左腕・東にヒネられ、8回にゲレーロの適時三塁打で完封負けを阻止するのがやっと。先発の桜井は初回二死から連続四球を与えてソトに先制3ランを浴び、2回には梶谷の2ランを被弾。原監督も「今日は向こうのピッチャーに完全にやられたという感じですね」とお手上げ状態で、桜井の投球には「フォアボール、フォアボール、ホームランじゃ、なかなかリズムに乗り切れない。よし、ツーアウトという時にカーンじゃねえ…。これはフォローのしようがないですな」と表情を曇らせるしかなかった。

 今季最短となる2時間25分でゲームセットとなったが、好材料もあった。4回以降に登板したリリーフ陣が追加点を許さず、この日再昇格したマシソンも無失点でバトンをつないだ。最速は151キロを計測し「一軍のマウンドに復帰できてうれしい。優勝のために投げ続けたいよ」と安堵の笑みを浮かべた。練習前には小林と再会のハグを交わすなど、背番号20の帰還を大歓迎していた。

 その一方で、マシソンの今後には不安も充満している。事の発端は右足の負傷。6月18日のオリックス戦(東京ドーム)で緊急降板し「右内転筋の軽い肉離れ」と診断された。7月6日に一度は一軍復帰したが、同月26日に再度抹消に。投球動作そのものはセットポジションに変更するなど試行錯誤しているが、故障して以降は足を引きずった状態なのだ。これには「チームのためと思ってくれているけど、見ているだけで痛々しいです」と目をそむけるナインも…。

 チームスタッフは「スコットは来年の東京五輪にカナダ代表として出ることを自分の“ゴール”として、春もそんな話をしていました。でも、あの故障ですべてが変わってしまったのかもしれない。足をかばって歩き方にまで変な癖がついてしまった。今年のチームは久しぶりに好位置。もう後先を考えず、仲間と一緒に優勝して燃え尽きるつもりなのかもしれません…」と肩を落とした。

 当のマシソンはファームでの取り組みについて「言い訳するつもりはないが、内転筋が弱っていた部分もあったので、そこを強化することでフォームのバランスを取り戻すということもあった」とし「優勝メンバーの一員になれることがモチベーション」とも語った。

 昨年8月には左ヒザを手術し、感染症の「エーリキア症」も克服した不屈の剛腕。5年ぶりのリーグ優勝に向けて腕を振り続ける覚悟だが、果たして――。