赤ヘルエースは夢舞台に立てるか――。広島は16日、DeNAを4―2で制し、7月5日以来の2位に浮上した。勝利に導いたのは5安打2失点、119球完投で3年連続の2桁勝利となる10勝目を挙げた大瀬良大地(28)。台風に翻弄され、ドタバタ移動の仲間を救う熱投だった。

 この日の横浜スタジアムは台風10号の影響で上空に強風が舞う難しいコンディション。序盤は風を計算しながら直球主体のパワーピッチングで押し、中盤以降は女房役の会沢がフォークを多く取り入れた変化球主体の配球にチェンジしてベイ打線に的を絞らせなかった。

 大瀬良は2日前に横浜入りしていたが、チーム本隊は前日に台風が中国地方を直撃したため、異例の当日早朝移動を強いられた。「しんどかったですけれど、みんなもバタバタで移動して疲労もあったと思う。最後まで投げ切れて良かった」とほほ笑みながら汗を拭った右腕。緒方監督は「大地の好投に尽きる」とエースに最敬礼だった。

 最多勝争いではトップの巨人・山口に1勝差に接近。2年連続のタイトル獲得も視野に入る。「僕たちは一戦一戦、目の前の試合を戦っていくだけ」という大瀬良だが、今後の終盤戦は、来年の東京五輪出場を目指す右腕自身にとっても重要なアピール期間となる。

 侍ジャパンの編成関係者によると、直近の評価では、大瀬良は現在五輪メンバーの当落線上にいるという。「先発候補で有力なのは、まず千賀(ソフトバンク)と菅野(巨人)。大瀬良は則本(楽天)、今永(DeNA)らに続く位置にいる。プレミア12やWBCより五輪メンバーは4人少ない24人。先発枠は3、4人ですから、まずはリーグで菅野を上回るような成績を残さないと、滑り込むのはなかなか大変だと思う」としていた。

 横浜スタジアムは東京五輪のメイン球場。今季は2戦2敗と苦戦していたが、酷暑と強風の悪コンディションの中でのこの日の快投は価値がある。台湾視察中の侍ジャパン・稲葉監督へもアピールは届いたはずだ。