巨人・山口俊投手(32)が過去最高のシーズンを送っている。右ヒジ周辺の筋肉の張りから復帰した12日の広島戦こそ4回途中4失点で降板したが、現在リーグトップの11勝(2敗)、防御率2・78とチームを支え続けている。好調の原因から気になる右ヒジの状態まで、背番号11の胸中を聞いた。

 台風接近の影響で広島からの帰京を取りやめたチーム本隊より一足早く移動していた山口は15日、ジャイアンツ球場で調整。ランニングなど軽めの調整で汗を流した。キャッチボールではヒジの位置を意識的に上げ、確認しながら投げていた。
「自分のイメージするリリースポイントと、映像で見るリリースポイントが一致してないから、そこの確認ですね」という右腕だが、気になるのは張りを訴えた右ヒジの状態だ。

 山口本人は「抹消はされましたけど、そんなに重症っていう感覚は自分にはなかった。(抹消直前の投球も)投げようと思えば行けましたし」とケロリ。投球時のヒジの位置が例年より下がっており、周辺から「無理をして投げているんじゃないか」という不安の声もあった。しかも、これまで公になった負傷で右肩はあってもヒジに関するものはなかっただけに心配はなおさらだ。

 その原因について聞くと「何なんでしょうね…やっぱり肩回りじゃないですか」と語るとこう続けた。「肩回りだったり、肩甲骨の動きが良くないから(ヒジ周辺の筋肉に張りが出たの)だと。今までは上から叩きつけるようなオーバースローだったから肩にきていたのが、横からになったのもある。支点がヒジで(腕が)“走る”ようなイメージなので」。シーズンも終盤。疲労がたまった肩回りのコンディションさえ戻ればヒジへの負担はなくなるとした。

 一方で、今季はスリークオーター気味へと変わっていった投球フォームに関してはどうか。決して疲労や負傷箇所をかばって…ということではない。実はこれが今季好調の要因の一つだった。「常にその時その時で投げやすいポイントで投げているんですよ。無理に(ヒジの位置を)上げようともしてないし。この間(12日の広島戦)に関しては(腕の)『走り』が悪かったから、それが何なのかなっていう。ちょっと微調整中なんですけどね」。今季はこの投げ方が「ベスト」。型にとらわれない柔軟な姿勢が好成績に結びついている。

 首脳陣からは“弱音を吐かない頑健な体の持ち主”という評価を受けているが、シーズンを投げ抜くためのペース配分などは考えているのか。山口は「僕は常に成長だと思っているんで、それはしてないです。1試合投げたらその分、成長していきたいので」と言い切る。

 次回登板は中5日を経た18日の阪神戦(東京ドーム)が濃厚。強い体と柔軟な投球で、優勝へ向け投げ抜く覚悟だ。