甲子園V腕の西武・高橋光成 高校での“強行登板”は「できれば避けたほうがいい」

2019年08月12日 12時11分

 西武の5年目・高橋光成投手(22)が10日のロッテ戦(ZOZO)で、6回以外は毎回走者を背負う苦しい投球ながら、7回途中3失点(自責1)と要所を締め、約2か月ぶりとなる8勝目(5敗)を挙げた。

 将来のエース候補として日々苦悩する右腕は「試合前のブルペンがいつも以上によかったので慎重になりすぎた。今日はたくさん点を取ってもらった野手の皆さんのおかげです」と、強力打線による11安打8得点の援護に感謝した。

 その高橋は、全国高校野球選手権大会(2013年=第95回大会)の優勝投手でもある。当時、群馬代表・前橋育英の2年生エースだった高橋は本大会6試合中、5試合(計50回)で完投(うち2試合完封)し、自責点2、防御率0・36の圧倒的な数字で同校初の全国制覇に貢献。一躍全国にその名をとどろかせた。

 高橋は「基本的にピッチャーは2人。(5試合を勝ち上がった)群馬県大会も含めて基本的に自分がほぼ先発して点差が離れたら、もう一人にスイッチする感じ。キツかったですけど(プロである)今のキツさとは質が違う感じ。がむしゃらというか、無我夢中になっている分、危ないのかなと思う」と当時を振り返った。

 その上で「目に見えないところでは負担はきていると思うんです。でも『最後だから』とか『甲子園に行きたいから』といって投げるから後々、体にすごい負担がくる」と自らの経験を語り、3失点(自責2)完投勝利で延岡学園を破った甲子園決勝の裏にあった、知られざる体調不良との闘いを回想した。

「実は決勝の前日は熱中症からくる下痢で、点滴を打ちに行ったぐらい体調は最悪でした。(1失点完投で)準決勝に勝って疲れがピークにきてしまった。準決勝と決勝戦の間に休みが1日あったんですが、その1日で何とかしてやらなきゃいけないという状況でした。(当時は)ここまできたら優勝するしかないので『何とかする』としか思っていなかった。でも体は良くなっていないので、試合中も下痢で熱中症気味のままでした」

 現在、様々な角度で取り上げられ、議論されている高校野球の日程とエースの起用問題だが、その多くは現場の当事者たちの意見や思いを抜きにした場外での論戦が主。甲子園V腕の知られざる、こんな経験がプロ入り後、何かに生かされたかというと「全くないですね。できれば避けた方がいいと思います。そこで頑張ったからといってプロに来て耐久性が得られたというのもないですし、みんなで一丸となって野球ができたという思い出ぐらいじゃないですか」というのが高橋の意見だ。

 この場合、過酷な酷暑の中を勝ち抜いて全国の頂点に立った舞台裏に、本人発の美談は隠されていなかった。