原巨人 終盤戦を見据えた小林外し

2019年08月08日 16時30分

7回、生還した若林(左)を迎える原監督(中)

 ようやくトンネルから抜け出した。巨人は7日、ナゴヤドームでの中日戦を9―3で制し、連敗を6で止めた。湿りがちだった打線がようやく爆発し、原辰徳監督(61)も8月の初勝利でひと息ついた。この連敗中には捕手起用を巡ってチーム内外で物議を醸した。正捕手格の小林ではなく、一軍出場ゼロだった2年目の岸田を抜てきしたからだ。ここに隠された首脳陣の狙いとは――。

 15イニングぶりの得点をもたらしたのは、主砲の激走だった。4回一死一、三塁の場面で三走の岡本が大城の中飛でタッチアップ。微妙なタイミングながら間一髪でタッチをかわして先制すると、続く5回は呪縛から解き放たれたかのように火を噴いた。丸の19号2ラン、1か月ぶりに「5番・一塁」でスタメン出場した阿部が4号2ランで中押し。7回には若林が3点適時三塁打を放ち、力で押し切った。

 8日ぶりの白星に、原監督の表情も緩み「久しぶりに勝ったから汗かいたよ。(ユニホームを)着替えてきた」と報道陣の笑いを誘い「岡本の走塁もバッティングも良かったし、丸の2ランも慎之助の2ランも良かったですね」。打線の「起爆剤」として投入した阿部も最高の結果で応え「何か流れを変えたいというところで慎之助に頼ってしまった」と頭をかいた。

 何とか連敗地獄には歯止めをかけたが、首位の座は安泰ではない。2位DeNAとの0・5差は変わらず、3位・広島ともわずか2差。この連敗中、チーム内外に波紋を広げた原采配の一つが“小林外し”だった。

 右手人さし指の骨折で登録抹消となった炭谷の代役に、首脳陣は2年目の岸田を一軍登録し、3日のDeNA戦(横浜)でプロ初出場。先発マスクをかぶった小林に代わって途中出場し、8回に痛恨の捕逸を犯して敗れた。翌4日はプロ初スタメンマスクをかぶって桜井、6日は野上とバッテリーを組んでチームは敗れた。連敗を止めたければ、主戦捕手の小林を起用した方が近道だったはず。なぜ、あえて岸田だったのか?

 相川バッテリーコーチを直撃すると、首脳陣の意図をこう説明した。

「岸田は小林や銀(炭谷)まではいかないにしても、使う価値のある選手だと思っています。結局は全員で戦わなきゃいけない。(戦線離脱した)銀がどうなるか分からない。みんなで(どの投手と組んでも)いける状態をつくらなければいけない。今も1試合ごとが大事ですけど、9月になって、いきなり岸田を使うというのは難しいですよ。じゃあ、今度は小林がケガしたら、どうするのか? 岸田を使わないと、ますます使いにくくなってしまう。ちょっとでも今のうちに経験させたい」

 ただでさえ、上位3チームが僅差でひしめき、V争いはシーズン終盤までもつれそうな気配だ。真の勝負どころで小林がアクシデントで離脱、岸田が一軍未経験ではあまりにも心もとない。一塁併用で、この日はスタメンマスクをかぶった大城だけでも選択肢は狭まるばかりで、岸田に“突貫工事”を施す必要があったというわけだ。

 もちろん、岸田で落とした“3敗”が最終的に命取りとなる可能性もあるが、チーム一丸となって取り返していくしかない。この日の勝利から再び上昇気流に乗れるか。