21年ぶりの頂点へ、このまま一気に駆け上がるのか。2位のDeNAが2日の巨人戦(横浜)に4―2で逆転勝ち。首位の巨人に2・5差と肉薄した。菅野攻略の裏で光ったのは、アレックス・ラミレス監督(44)の巧妙采配だった。一方、3連敗となった巨人はこの日、今季2度目となるコーチ陣の配置転換も行ったが、最大のショックは炭谷銀次朗捕手(32)の故障離脱。投手陣は激しい動揺に見舞われている。

 追い上げムードのきっかけは0―2の4回、4番・筒香が放った19号ソロ。DeNAベンチは「あれでいけるとなった」(ラミレス監督)。先発・平良が6回4安打2失点と踏ん張ったのも、逆転劇の呼び水となった。

 打線は6回、代打・石川が左前打で出塁すると、横浜の街も地元球団を“アシスト”する。突如「ドーン!」と右翼スタンド後方から反撃の“号砲”が鳴り響いた。空を見上げ、どよめく満員のファン。実は横浜スタジアムから目と鼻の先のみなとみらい地区で、午後7時30分から花火大会が開始したのだ。

 花火が次々と打ち上がるなか、宮崎の左前打、ソトの適時二塁打で同点。なおもロペスが右中間へ勝ち越しの2点適時二塁打を放つと「ドーン! ドーン!」。花火大会との“競演”に「いいタイミングだったね。(逆転を)一緒に祝ってくれたよう。シンクロナイズしていたね。あれで点が取れるなら、明日は1回から打ち上げてほしい」とラミレス監督。ただ勝負を見つめる目は冷静だった。

 逆転劇の口火を切った石川の代打起用について、指揮官は「彼は通算1000安打まであと2本に迫っていてモチベーションが高い」とここぞでの起用を決めていたという。また、先発・平良の起用についても、チームスタッフは「巨人から来た平良で菅野に勝てれば向こうのダメージは大きいし、一気に3連勝が見える。監督はここが勝負どころと見て、この3連戦を“短期決戦”と位置付けています」と舞台裏を明かした。

 この日は、21年前の日本一を知るOBから「なんか、今年はいけそうな気がするね」と前向きな声も聞こえたが、同じくV戦士の三浦投手コーチは「いやいや、僕らは毎日の試合を乗り切るのに必死。まだまだ、ここからが苦しい時期ですから」。と言いつつ「でも、ここを乗り越えていかないと優勝というのは見えてこないんでね」と「優勝」の2文字を口にしたのは、はっきり目標が見えているからだろう。

 暗黒時代を知るスタッフも、今年は例年になく威勢がいい。「ウチはね、Bクラス常連だったころから終盤は意外と強いんですよ。残り2か月、ゴールが見えると踏ん張れる。選手のモチベーションも高いし、ここまできたら突っ走りますよ」と宣言。ハマに上昇気流が渦巻いている。