いよいよ正念場だ。巨人が30日から背後に5差で迫る9連勝中の3位・広島、8月2日からは4・5差の2位・DeNAと6連戦を迎える。首位を守れるか、大事な1週間となるが、選手個々にとっても来季の生き残りをかけた戦いが本格化する。とりわけ、シーズン中に5人を補強した投手陣への風当たりが強まりそうで、チームに緊張感が広まっている。

 6連戦の先陣を切るのはリーグ最多の10勝、同トップの防御率2・32を誇る山口。29日には灼熱のジャイアンツ球場で最終調整し「僕がやることは変わらない。まずは1つのアウトをしっかり取る。その結果、試合を作れるように、勝てるようにやるだけ」と決意表明した。同戦は原監督の「監督通算1000勝」もかかるだけに「今年は1回も完投できていないので、そろそろさせてもらえるような投球をしたい」と腕まくりだ。

 2戦目以降は二軍で再調整してきたドラ1左腕・高橋、メルセデスが先発する見込みで、敵地3タテのリベンジを期す。

 チームにとっては忍び寄るライバルたちを突き放せるか、首位を明け渡すかの大勝負。同時に92試合を消化し、選手たちにとっては来季に向けたサバイバルも加速する。特に、今オフに風当たりが強まると見られているのが投手陣。というのも、G投への補強が顕著なためだ。

 野手では育成出身で外野手の加藤と山下航の2人を支配下登録。捕手の宇佐見を日本ハム、和田恋を楽天に、それぞれトレードで放出し、差し引きはゼロとなった。

 一方、投手陣はキャンプ打ち上げ後に坂本工を支配下に引き上げたが、開幕後もテコ入れは止まらなかった。6月下旬に緊急助っ人としてデラロサが加わり、トレードで鍵谷、藤岡、古川の3人が加入。26日には育成の堀岡が支配下契約を勝ち取った。堀岡の起用について、原監督は「すぐに(一軍)というところは、先輩たちも黙っていないでしょう。でも近々未来は間違いなく」としたが、G投5人目の新戦力となった。

 上原の引退、吉川光のトレード放出でトータル3人の増員。投手寄りの補強に傾いたのは、開幕後の戦力だけでは先発、そして最大の課題である強固なブルペン陣を築けないと判断したからだろう。

 チームスタッフも「優勝を目指す上で、その戦力だけでは物足りないから補強に動いたわけで。十分なら補強しないでしょう。監督は故障者を除いて、若手からベテランまで積極的に使って、チャンスを与えるとともに戦力になるかを見極めてきた。すでに監督のなかで“アウト”となった選手もいるかもしれませんが、当落線上の選手にとっては残り少ないアピールの場になるでしょう」と予測した。

 支配下は現在68人。今秋にはドラフト会議も控え、オフの戦力整理は必至だ。首位を脅かされるチーム状況と同様、ナインもウカウカはしていられない。