原巨人に試練の時が訪れた。25日のヤクルト戦(岐阜)に1―8で惨敗し、連敗で2カード連続の負け越し。最大の誤算は約2か月ぶりに一軍復帰した先発テイラー・ヤングマン(29)だ。四球連発の背信投球で2回途中5失点KO。二軍降格が即決されたが、ここへきて先発陣は手薄の状態に。指揮官として通算998勝を誇る原辰徳監督(61)の手腕が試されている。
首位を快走してきた巨人が急ブレーキだ。先発のヤングマンは制球を乱しながらも初回は何とか無失点でしのいだが、2回に一気に崩れた。二死一塁で迎えた8番・広岡から2者連続押し出し四球を含む4連続四球。自ら傷口を広げ、なおも満塁から青木、バレンティンに連続適時打を浴びて5失点。ベンチも救いようのない独り相撲を演じた右腕に、原監督はたまらず降板を命じた。
打線もチグハグな攻撃で反撃は1点止まり。敗戦後は着席して報道陣に応対する指揮官も、この日ばかりは「座ってられないね」と用意されたイスを自ら撤去。大乱調の助っ人右腕には「私が先発起用したところにね。私が悪いよ。想像できない状況になってしまった。チームに迷惑かけた。それで終わりだ。何もフォローできない」と、あきれるしかなかった。
夏本番を迎え、チームの根幹がガタつき始めている。先発ローテーションを守るのは菅野、山口、今村、桜井の4人。前日24日は楽天からトレード移籍して初登板した古川が1回4失点KOで二軍落ちした。では5、6番手の穴を誰が埋めるのか? 不調のため再調整を命じられたメルセデスは29日以降に再登録可能となるが、どこまで復調したかは未知数。新加入した岩隈は実戦登板しておらず、畠は右ヒジの手術に踏み切った。この日のイースタン・リーグのヤクルト戦で先発したドラフト1位左腕・高橋は3回6安打6失点で、20日に登板した高田も6回3失点ながら9安打と打ち込まれた。ともに防御率は2点台だが、不安が残る内容だ。
今季途中にリリーフから先発に回して開花させた桜井のように、ブルペン陣を削ってでも新たな先発候補をつくり出す手はある。ただ、救援陣も主に守護神を務める中川以外は役割を固定できていない。勝ちパターンに名を連ねていたマシソンがこの日、5点ビハインドの9回から登板して2失点。指揮官は「ちょっとエネルギーを補給しようというところで、一度ファームで調整させることにします」と登録抹消を決断した。
5番手以降の先発陣について、宮本投手総合コーチは「これから育てます」と話したが…。振り向けば2位・DeNAとは5・5ゲーム差。百戦錬磨の指揮官が、ここからどう巻き返していくのか注目される。