ついにお目覚めか――。巨人は16日のヤクルト戦(神宮)を6―3で快勝し、5連勝で12球団最速の50勝一番乗り。最大の収穫は眠れる主砲・岡本和真内野手(23)が奏でた快音だろう。13試合ぶりに16号2ランを放って2試合連続のマルチ安打。復調気配を漂わせてきた若き4番は、多くの選手が陥りがちな夏場の体重減とは無縁で、特異な“巨大化現象”にナインから羨望のまなざしが向けられている。

 G党、そしてチームが待ち焦がれた一発が、ようやく飛び出した。初回二死一塁の第1打席、岡本は相手先発・高梨が投じた直球を完璧に捉え、バックスクリーン右へ。交流戦最終戦となった6月23日のソフトバンク戦(東京ドーム)以来の一発は、節目のプロ通算50号となった。

 首位を快走するチームにあって、岡本のブレーキは大きな懸案事項だった。原監督は後半戦のスタート前に「ビッグベイビー!」と再びイジって、「(球宴出場で)本人がどういうふうにエネルギーに変えるか」と復活を願った。そうした中で飛び出した一発。試合後には「3試合に1回ぐらいは見たいね。かなり(間隔が)空いてるよ」と笑いながら今後の量産を期待した。

 当の岡本は「昨日からいい感じで振れていたので、あまり考えずに『無』でいこうと思いました。打点がつくのは、うれしいです」と、ちょっぴり口元を緩めた。

 和製大砲に求められるのは、やはり豪快なアーチだ。入団5年目ながらレギュラーとしては今季が実質2年目。指揮官も「途上」と表現するように若武者は、まだまだ進化の過程にある。恵まれた肉体も、その一つだ。

 昨オフの猛トレでひと回り大きくなって春のキャンプに登場したが、実はシーズンに入ってからも、さらに巨大化を続けている。首脳陣の間で「アイツ『痩せました』なんて言ってたけど…」と一時、情報は錯綜したが、チーム関係者の証言を総合すると、公称96キロの体重は「110キロ超」であることが判明した。

 過酷なシーズンを戦う上で、多くの選手を悩ませるのは夏場の体重減。それを見越してオフの間に増量し、シーズン中は何とかキープできるように注意を払う。それでも減ってしまうケースがほとんどだが、岡本の場合は違う。

「これはもう(岡本)和真の才能としか言いようがないです。シーズン中なのに、何でそんなにデカくなれるのか。それでいて体脂肪率などは変わっていません。勘違いしてほしくないのは太ったわけではなく、動ける体のまま大きくなっていること。ある意味“新種”かもしれません」(チームスタッフ)。ある選手も「別に動きが悪くなったようには見えないし、うらやましい限りです」と目を丸くする。

 岡本はド迫力ボディーを誇りながら「東京ドームのケータリングでも、白米をやめて十六穀米にしました。ちゃんと(体に)気を使っているんですよ」と繊細な一面を備える。最後は「ボチボチやっていくんで、ソッとしておいてください」と言い残してクラブハウスに引き揚げた。

“球界の常識”を覆しながら進化し続ける大砲の今後が楽しみだ。