プロ野球界の精鋭が大集結した夢舞台で、異彩を放ったのが巨人・原辰徳監督(60)だ。自身4年ぶりの球宴は、広島・緒方監督の下でコーチとしての参戦。ただ、存在感は抜けていた。試合前の打撃練習が始まると、セ監督の2人とは距離を置く形で真っ先にケージ裏の中央へ。普段の東京ドームの試合前に自軍選手へ鋭い視線を向ける、いわば指定席だ。終始リラックスモードのまま、バットを手にして坂本勇と岡本には指揮官復帰後初となるノックも披露した。

 その後は、続々とあいさつラッシュ。全パを率いる西武・辻監督、日本ハム・栗山監督とは個別に、ケージ横ではソフトバンクの工藤監督を交えて小川、栗山両監督とともに4人で大いに監督談議に花を咲かせた。他にも練習を見学していた女子野球日本代表の田中露朝投手も、原監督のもとへ。売り出し中の阪神・近本が直立不動のまま原監督の言葉に耳を傾けるシーンもあった。

 7度のリーグ優勝に3度の日本一。WBCでは世界一に輝くなど監督としての実績も桁違い。加えてセ・リーグでは2位に9・5差をつけて首位を独走中で、同日昼には東京・大手町の読売新聞東京本社を訪れ、山口オーナーらへ前半戦の報告を行い賛辞を贈られた。そんな状況もあってか、周囲からは「誰がセの監督なのか分からないね」との声も上がるほどだ。

 試合には敗れたが、原監督は「楽に野球を久しぶりに見たなあ。応援団という形でね」と悠然と球場を後に。やはり、その存在は別格のようだ。