原巨人が会心の首位ターン 大独走の“潮目”

2019年07月11日 16時30分

前半戦をぶっちぎりの首位で折り返した原監督(左)

 原巨人が会心の首位ターンだ。巨人は10日の阪神戦(甲子園)を4―1で快勝。今季最多の貯金を17に更新し、2位の阪神とDeNAに9・5ゲームの大差をつけて前半戦を終えた。3度目の指揮官に復帰した原辰徳監督(60)の下、5年ぶりのV奪回へ視界良好だが、「1強5弱状態」になった“潮目”はどこにあったのか――。

 もはや向かうところ敵なしか。2回までに4点を先制し、早々と虎の先発メッセンジャーをKOすると、先発の今村は6回途中1失点の粘投。その後は4人のリリーフ陣が無失点で、前半戦を3連勝で締めくくった。

 巨人はすでにセ・リーグの貯金を独り占め。ライバル球団の姿もかすむ独走で首位ターンを決めたが、原監督は「まだ振り返るというのはないですね。選手は、いっぱいいっぱいで頑張っています。少し体をリフレッシュさせて、いいコンディションで後半戦に臨みたい」と淡々。むしろ「われわれは逆に怖いですよ。プロ野球というのは、そうそう差は出ない勝率ですから。気は引き締まる思いですね」と戒めた。

 とはいえ、これほどの快走は指揮官にも想定外だろう。首脳陣の構想には誤算も少なくなかった。二塁で固定起用する方針だった吉川尚、新守護神になるはずだったクックは早々に故障離脱した。しかし、逆風が吹いても二塁では山本や若林ら若手が穴を埋め、苦境のブルペンでは中川が台頭した。

 チーム全体が独走態勢に入るターニングポイントはどこだったのか。チーム内からは、ビヤヌエバの9回逆転2ランで劇的勝利を飾った交流戦初戦の楽天戦(楽天生命パーク=6月4日)なども挙がったが、根強い“支持”を集めたのは超強力打線を誇る西武を相手に勝ち越しを決めた6月13日の一戦だ。

 このカード3連戦で先発したのは主に中継ぎ要員だった今村、田口、そして桜井の3人。ナインの一人は「状況的には3タテも覚悟しなきゃいけない3連戦。正直、1勝できれば御の字ぐらいの感じでしたが、何とか1勝1敗にして、最後に桜井が2試合連続で好投して勝ち越せた。これはいけるんじゃないかという空気になりました」と振り返った。

 さらに、ある巨人OBは「1度ならまだしも、2度続けて(炭谷)銀仁朗のリードが桜井の先発としての力を引き出した。これは本当に大きかった。チームとしても自信に変わったんじゃないか」と見る。その後は、この日まで連敗なしの7連勝を含む15勝5敗の快進撃になった。

 リーグ戦再開後の「1強5弱状態」を後押ししたのは、原野球に対するセ球団の“研究不足”を指摘する声も上がる。巨人コーチを歴任したOBは「原監督の1点を取りに行くスタイルは変わっていないよ。むしろ、その野球に周りのチームがついていけていない感は否めないよね」。

 一球ごとに打者へのサインを変えて相手バッテリーを揺さぶり、隙あらば重盗を仕掛け、主軸打者の坂本勇や丸にも送りバントを命じる。前夜にプロ初犠打を決めた主砲・岡本に関しても「ジャイアンツでは不思議ではないです」としたのも原流の普段着野球を貫いている証しと言える。

 オールスターを挟み、15日のヤクルト戦(長野)からスタートする後半戦では、どんなドラマが待っているのか。今のところ原巨人に死角は見当たらない。