巨人が原辰徳監督(60)の石橋を叩いて渡るがごとき“慎重采配”で阪神戦(甲子園)に1―0で競り勝ち、前半戦最後のカードを勝ち越した。

 連夜の1点差ゲームに、試合後の指揮官はやや紅潮した表情で「勝ち切ったというか逃げ切ったというか。本当に小さな差ですけどね。まあ、1―0で勝ったというのはね、価値はあると思いますけどね」と振り返った。

 先発・桜井が阪神先発ガルシアと息詰まる投手戦を展開。7回まで両軍ゼロを並べたが、8回、先頭ビヤヌエバが右翼線二塁打を放つと、原監督はすかさず代走に前日(8日)試合を決める三盗を決めた増田大を起用。小林の犠打で三塁に進むと、9番・桜井の代打・中島の遊ゴロで猛然とチャージ。先制の本塁を陥れた。

 9回には無死一、二塁で4番・岡本に犠打を指示。得点にはつながらなかったが、プロ初の犠打にスタンドがどよめいた。さらに最終回には抑えに登板したマシソンが二死を奪い、左打者の高山を迎えたところで左腕の田口を投入する徹底ぶり。内野安打を許すも続く打者を抑え、プロ初セーブを挙げた。

 慎重に慎重を期した采配だったが、岡本の犠打について問われた原監督は「そんなに…ね、そうですか。まあやっぱり我々ゲームを勝ちにいくっていう部分でね、そこは最善の策であろうということですね。しかしそんなに不思議では。ジャイアンツでは不思議ではないです」とサラリ。マシソン、田口の継投には「マシソンは故障明けということもあるし、今日3連投なんですよね。(ならば)『投げさせなければいいじゃないか』というふうに言われるかもしれないけどね。やっぱり少しでも(負担を)軽くして。ブルペンにはいいピッチャーがいますから、そこの時点では田口に任せようということで判断しました」。右腕への信頼と連投の負担というジレンマをのぞかせながら決断したことを明かした。

 この勝利で2位以下は全て借金状態。巨人だけが貯金16という“完全独走状態”となった。前半戦最終戦となる3戦目へ向け「まあ、総力戦でね。(球宴の間)少し休むことができるわけですから、この時間、2時間、あるいは3時間をしっかり集中していきたい」と話した。