阪神・岩田 「魔球」真っすぐ進まないストレートでまだまだ伸びる

2019年07月06日 13時00分

6回1失点の好投で3勝目をマークした岩田

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】潜在能力が高いとはもう言っていられない。すっかり35歳のベテランでもある。持ち味を生かし実力通りの投球をしたと表現していいだろう。阪神・岩田稔投手が5日の広島戦で6回を2安打1失点に抑えて今季3勝目。広島、巨人と続く6連戦の初戦に勝利して、上位に踏みとどまった。

 手元で動く力強いツーシームと鋭く曲がり落ちるスライダー。いわゆるフライボールを打ちにくい球質をしっかり生かした。18個のアウトのうち半分以上の10個をゴロで奪った。「粘り強く投げるのが僕のスタイル。その中でしっかり守ってもらってアウトを重ねるのが僕の投球。それができてよかった」と、お立ち台で充実の表情をみせた。

 奇麗な球筋とは言えない。だが、それこそが武器だ。初の開幕一軍を勝ち取った2008年の春季・宜野座キャンプでのこと。ブルペン捕手を取材したところ、岩田の球質を如実に表現したフレーズが返ってきた。

「岩田のボールはパンッといい音で捕ってあげるのが難しい。いい音させてノセてあげたいんだけどね。なんかグラグラッと直球が動く。でも、受けにくということはすなわち、打ちにくいってことでもあるんですよね」

 この球質を利用して08年は初めて2桁の10勝を挙げ、翌09年にはWBCの代表にも選出された。当時の原監督(現巨人)も「お前さんは阪神担当だから分からないだろうけど、我々にとって岩田のボールは脅威だから。対戦する各国の脅威にもなると思うよ」と、能力を認めていた。

 矢野監督が現役時代最後に100試合以上出場したのは08年。もちろん、指揮官自身が岩田の良さを熟知している。目に見えない信頼感が伝わっているのか、ここまで岩田も期待に応え続けている。

 先輩左腕の下柳剛氏は35歳のシーズンから引退するまでの10年間で、通算129勝のうち80勝を積み重ねた。真っすぐ進まない直球という「魔球」を磨き続ければ、岩田にだって同じことができる。そう思っているのは僕一人ではないはずだ。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。