広島・長野「響きます」 中日“ガッツ”小笠原二軍監督の金言にジ~ン

2019年07月05日 16時30分

グラウンド上で小笠原二軍監督(右)にあいさつする長野

 悩める赤チョーノに尊敬する先輩から金言だ。今月2日から二軍調整中の広島・長野久義外野手(34)はウエスタン・リーグ中日戦(由宇)に3戦連続で出場し、ここまで5打数無安打。そんななか、巨人在籍時に苦楽をともにした敵将・小笠原道大二軍監督(45)から厳しくも温かいエールが送られた。これには長野も大感激で力強く復活を誓った。

 巨人で2010年にキャリアをスタートした長野にとって、当時チームの主軸打者だった小笠原監督は憧れの存在だった。4シーズンをともに過ごす間、常にその大きな背中を見つめ続けた。

 小笠原監督は14年に中日にFA移籍し、翌年に引退。指導者に転じた。長野によればその後も折に触れ、気遣いの言葉をかけてもらっていたという。4日の試合前にもあいさつに駆け寄り、直立不動で小笠原監督の言葉に聞き入る長野の姿が印象的だった。

 では、新天地でもがく長野を小笠原監督はどう見ているのか。「今の俺の立場上、いろいろと言えないのはあるからね。『頑張ってくれ』しか言えないよ」。それでも後輩はかわいい。本紙のしつこい問いかけに、自身の経験をもとに真剣に答えてくれた。

 テーマは役割の変化。小笠原監督も巨人時代の後半は故障もあって長く苦しい時を過ごした。それでも中日移籍初年度は代打の切り札として打率3割1厘、ユニホームを脱いだ15年も2割9分4厘の好成績を残した。その点、現在の長野は立場の変化に戸惑っているようにも見える。

 小笠原監督:そこは仕方ない。受け入れないといけない部分はあるでしょ。(レギュラーで出たいなら)絶対的な力があればいいわけで、それは俺もそうだったしね。絶対条件として、心が折れちゃいけない。今の場所でいかにやるべきことをやっていくか。じゃあ、何をしたらっていうのはやっぱり自分で考えなくちゃいけない。

 長野が今後、一軍再昇格しても、ただちに立場の変化はないだろう。レギュラーから代打稼業へ身を移した際、当時はどう心を構えていたのか。

 小笠原監督:代打は結局、その打席だけ。内容も大事だけど、結果になるからね。基本線はアウトにならなければいいんだよ。確実に点が欲しいときに犠飛を求められる場面はあるけれど、それ以外のときには必ずつなげなくちゃいけない。アウトにならなければ次につながる。ということは、四球でもいい。まずはそこからじゃないのかな。軽打しろとは言っていないよ。調子がいいとき、余裕があるときは狙ってもいい。つまり最高の結果って何か、ってこと。チームにとってはまずアウトにならず次につなげてくれ、っていうことじゃないのかな。俺はそう思っていたね。

 とはいえ、長野はスタメンで出てこその選手という声もある。代打として慣れるには時間がかかると話す球界関係者も多い。だが、先輩はほほ笑みながら首を振る。

 小笠原監督:4打席立って、というリズムはあるからね。でも、そこは結局は一緒。レギュラーなら4打席、代打なら1打席。数が違うだけ。経験があるんだから「1打席しかないのか」なんて話じゃあ困る。やりゃあいいのよ。ここぞっていう打席はレギュラーだって限られている。(代打でも同じように)一気にそこに集中するだけ。全身全霊をかけてスイングルームでアップする、バットを振る。いかにその瞬間にピークを持っていくか。気持ちも体もね。

 かつて“侍”と呼ばれた寡黙な男がこうも語るのは珍しい。突き放しているようで温かい言葉は敵となっても力を認める後輩の輝く姿を見たいからだ。最後は「やってもらわないと困るしね。まだまだ老け込む年じゃない。陰ながら応援している、と伝えておいて」とメッセージを残した。

 長野にとっては霧が晴れるような金言の数々。表には出さずとも、やはり迷いはあったのだろう。「立場があるのに先輩として言ってくださっているんですね。響きます…」とかみ締めるようにポツリ。そして「しっかり結果を残せるように頑張ります」と前を向いた。