巨人が3日の中日戦(東京ドーム)に7―6で今季2度目のサヨナラ勝ち。4連勝にベンチはお祭り騒ぎとなった。気になるのは交流戦で3戦2勝、防御率1・83の活躍を見せた先発・桜井俊貴(25)が、3回6安打3失点で降板したことだ。ローテの柱として期待される4年目右腕は、セ・リーグ相手に通用しないのか?

 守護神・中川が1点のリードを守れず迎えた9回裏。先頭の若林が四球を選び、続く増田大への初球で二盗を決めた。その後、増田大がスリーバントで三塁線に転がすと、これを高橋が一塁へ悪送球。二走・若林は一気に生還し、歓喜の輪が広がった。ナインが次々と2人の若武者に水をかける。顔を紅潮させた原監督は「かなり物語は長いですね」と今季2度目のサヨナラ勝ちを振り返った。

 4連勝で貯金12。お祭り騒ぎのチームにあって唯一の気がかりは先発の桜井だ。交流戦では3試合に先発し2勝0敗、防御率1・83と安定した投球を披露した右腕にとって、同一リーグ相手には試金石の一戦だったが、結果は3回53球、6安打3失点で無念の降板となった。

 初回、先頭の平田に初球を二塁打され、ビシエドには適時二塁打を浴びて先制を許す。2回も二死からの4連打で2点を失った。3回こそ大島、ビシエド、高橋のクリーンアップを三者凡退に仕留めたが、その裏の一死満塁の好機で代打・中島を告げられた。

 リーグ戦再開を前にセのライバル球団は「桜井に対して苦手意識はまったくない」と腕をぶしていた。実際、交流戦前の桜井は中継ぎで12試合に投げ、1勝1敗、2被弾で防御率6・57とセの打者に打ち込まれていた。

 やはり交流戦では対戦データの少ないパ相手だったから通用していただけなのか? そんな疑問も沸くなか、指揮官の言葉は桜井への期待に満ちていた。「この次また行こうと。(3回に)1点取ったら桜井を(打席に)行かせるつもりだった。点が入らなかったら攻撃に転じると桜井には言っておきました」(原監督)とチーム戦略上の交代を強調。宮本投手総合コーチも「ボールはいいところに行っていた。信頼度は変わらない。次も行くぞと話した」と中5日での阪神戦(9日、甲子園)登板を予告した。

 本紙評論家の前田幸長氏も「桜井は中継ぎの時と比べて球速も上がり、変化球のキレも増している。3回にクリーンアップを抑えたことはプラスになる。大切なのは自信を喪失しないこと。後は細かいことだけど、下位打線に二死からの連打を浴びるなど防げる失点を防ぐようにすること」と後押しする。

 桜井本人も「球自体はいい感じだった。終わってから配球について銀仁朗さんと話し合った」と次戦を見据えた。対戦前には「相手が自分のことを分かっているのはむしろプラス。ナメてくれればいい。その裏をかくことを考えている」とセ対策も練っていた。この日の不完全燃焼を今後の糧とできるかどうかは次回以降の投球にかかっている。